社会人バスケットボールチーム「RAMPOLE(ランポーレ)三重」の新主将、マラ・バンガリーさん(22)(名張市蔵持町原出)は、身長2メートルの大型センター。「チームを上位リーグに」と闘志を燃やす。ニックネームは父親を意味する「パピー」だ。【マラ・バンガリーさん】

昨年のリーグ戦でプレーするマラさん(チーム提供)

 西アフリカのギニアに生まれ、隣国セネガルで育った。幼少期はサッカーに夢中だったが、10歳の時に友人に誘われたバスケの試合で惨敗、悔しさからのめりこんでいった。

 中学卒業が迫る15歳の冬、バスケと学業を両立できる環境を求め、フランス留学を考えていたマラさんに、教育関係の仕事をしていた母が「日本の学校が留学生を募集している。違う文化に触れる方が、きっと勉強になる」と勧め、時代劇や志村けんさんが好きで日本に興味を持っていたマラさんは、母の言葉に従った。

 セネガルから約1万3600キロ離れた新潟県で、アスリート養成に力を入れる新鋭校に入学。日本語を学びながら、バスケ部の中核選手として存在感を見せた。

 2年の冬、練習中の接触プレーで転倒、右足首の靱帯を損傷したことで退学。関東でけがの治療とリハビリに1年ほど専念し、完治してからは、都内の社会人チームでプレーしながら、モデルの仕事もこなしていた。

 2018年秋、名張市で新設したチームに入るよう、元チームメートから誘いがあったが、すぐには承諾しなかった。「名張という街で収入を得て生活していけるのか」。交際していた日本人女性との将来や、セネガルに住む1つ下の弟への学費援助のことなど、慎重に考えを巡らせた。選手活動に理解のある職場と巡り合い、名張での生活に道筋が見えたことで、昨年7月に入団。市役所に婚姻届を提出し、新たな家庭も築いた。

 チームはこの年、Bリーグ下部の東海・北信越リーグに新規加入。シーズン途中でマラさんを迎えたチームは、連勝を重ねた。シーズンは最終的に8チーム中6位の成績で終えたが、マラさんが加わってからの勝率は5割だった。

 新型コロナウイルス感染症の影響で開幕が9月に延期になった今年は、新主将に就任したマラさんが大黒柱となり、巻き返しを図る。マラさんは「今年は若く勢いのあるチームで、新監督のもと体制も整った。期待してほしい」と語った。

2020年6月27日774号1面から

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