名張市出身で大阪市在住の漫画家、吉良いとさんのデビュー作「ようこそ亡霊葬儀屋さん」の単行本第1巻がこのほど、集英社から発売された。夏には第2巻も予定している。【デビュー作の単行本】

幼少時からの憧れかない「夢心地」

 幼いころから漫画家になることを夢見ていた。名張高校を卒業後、京都精華大学でデザインを専攻。卒業制作では、アクションやドラマなどさまざまなジャンルの漫画を描き、雑誌のようにまとめた。

 就職し仕事に慣れてきた4、5年前、再び漫画を描き始めた。2018年の冬に完成させた作品を集英社の漫画投稿サイト「ジャンプルーキー!」に応募。「なんとなく軽い感じ」の投稿だったが、同社の他媒体にも掲載できる「ブロンズルーキー賞」を受賞した。

 翌年1月、漫画アプリ「少年ジャンプ+(プラス)」に読み切り作品を掲載。アプリ内のコメント欄では高評価で、ツイッターでも紹介してみたところ、5万件のリツイート、150万件の閲覧があったという。

 昨年、漫画家に専念するため会社を退職。今年2月から同アプリで「ようこそ亡霊葬儀屋さん」の連載(隔週火曜更新)を開始した。

 死者の最期の願いをかなえる葬儀屋が主人公の物語で、小学生のころ、天使が死者の願いをかなえる話を描いたことがあり、それが「軸」になっているという。「亡くなった人も生きている人も互いの後悔があり、きちんと『さよなら』が言えていないのでは」という状況を目の当たりにした経験から、「その後悔を晴らしてくれる葬儀屋さんがいれば、誰かを救えるんじゃないか」との思いで描いているそうだ。

 小学生のころの憧れがかない、「今はまだ夢心地」と話す吉良さん。「今後は、描いてこなかったいろんなジャンルにも挑戦したい」と目を輝かせた。

 単行本は1冊600円(税別)。伊賀地域のブックスアルデ各店、三洋堂書店、岡森書店白鳳店などで販売している。

2020年6月13日付773号2面から

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