愛する我が子の安泰を願って―。名張市桔梗が丘2番町の小村靜子(85)さん方に、5段飾りのひな人形が飾られている。娘、孫、ひ孫と4世代が受け継ぐ人形で、今年も変わらず家族を見守っている。【ひな飾りの前に集まる小村さん家族=名張市桔梗が丘2で】

 84年前、小村さんの義父が親族の初節句にそろえたもの。最上段にある御殿には親王と三人官女、左右に随臣が控え、2段目に五人囃子、3段目に仕丁、4段目からは「おくどさん」「みずや」「ながもち」「火鉢」などの道具類が並ぶ。

 小村さんは、結婚当時住んでいた大阪の自宅で、ひな飾りのすぐ横に布団を敷いて寝ていた記憶が残っているそう。その後、名張に転居し、長女の橋口牧子さん(59)が生まれると譲り受けた。今は近くに住む橋口さんと孫の大矢真佑美さん(33)、ひ孫の采來さん(7)と4人で飾り付けるのが恒例になっている。

御殿

 配置は写真に撮って記録しており、御殿は毎年一から組み立てる。それぞれの人形に小物を持たせるのが大変だそうで、「これは誰が持つものか」と皆でわいわい言いながらそろえるのが楽しい。采來さんにとっては、おくどさんや火鉢などは“未知の世界”の道具だそうだが、今年も2月上旬に約3時間かけて飾り付けを終えた。

 「飾り付けは大変だけど、今後も皆そろって続けていきたい」と橋口さん。「今年もまた1年、無事に過ごせますように」と4人で祈っていた。

2020年2月22日付 766号 1面から