2021年の「三重とこわか国体」に出場する三重県代表の水球チームのメンタルコーチを務める名張市桔梗が丘5番町の鈴木哲平さん(41)=写真(提供)=は、食品や衣料の貿易業務を行う「株式会社JAMES(ジェイムス)」の社長でもある。サッカーや柔道などの現役プロアスリートのメンタルコーチとして活動する他、企業経営者には同じ実業家の視点でメンタル面からサポートしている。

 スポーツマンだった鈴木さんは大阪体育大学を卒業後、26歳で起業。翌年、メンタルセラピストの溝口耕児さんの講義を聞き、「優れた技術や知識があってもそれを生かすのは人間の感情。人の心を動かすことが一番大事なのでは」と感じ、衝撃を受けたという。

 35歳の時に渡米し、39歳で帰国後、改めてメンタルコーチ・トレーナーしての資格を取得、事務所「ジェイムスメンタルオフィス」を立ち上げた。その後、県代表の水球チームの指導に携わることになり、今年4月、正式にメンタルコーチとして就任した。

 指導しているチームは、四日市中央工業高校の選手を中心に編成され、全国でもトップレベル。昨年は全国準優勝に輝いたものの、決勝戦では緊張とプレッシャーから実力が出せなかったという。「水球は自分で考え判断する競技。監督の指示を待っている選手は使えない。いかに自ら判断できる選手に変えるか、メンタル面からサポートしています」。

 時には遠征にも帯同し、宿泊先で選手個々に、監督には言えないことも聞く。「試合前は緊張しすぎないよう笑いを誘ったり、気持ちが緩んでいるなと感じた時は引き締めます。試合後は調子の悪かった選手から問題点を聞き出し、次の成長につなげるようにしています」。

コンサルティングも

 アスリートに対するのと同様、企業経営者へのメンタルサポートにも力を入れている。自ら会社を立ち上げ、運営してきた経験から、新規の起業家にはメンタル面だけでなく財務、人事など経営全般のコンサルティングもするそうだ。

 「経験豊富で成功を収められている経営者も、人には言えない個人的な悩みがあります。普段、強気な方ほど内面は繊細。実業家でもある私が、心理面から観察した上で提言すると、信頼を寄せてくれます。しかし、私はあくまでも参謀で、サポート役」と話す。

 これから家族5人で地元・名張にじっくり腰を据える。「メンタルコーチとして、人の役に立てることで地元に貢献したい。米国のように、メンタルカウンセリングがもっと身近に、もっと日常的に活用される時代になればと思っています」と話した。

2019年11月9日付 759号 11面から