語り部の活動を通じて知った「拓本」に興味を持った、伊賀市上野田端町の松本惣平さん(84)=写真=は10年ほど前から、武家の墓石や古い句碑、昔の街道の道しるべ「町石」などの拓本を取り、手元に残している。

 拓本は、文字や図柄などが入った石の表面に画仙紙を貼り、霧吹きで湿らせた後、専用の墨を付けてたたき、輪郭を写し取るもの。20年ほど前から参加する「いがうえの語り部の会」の活動の中で、地元の拓本愛好家から「城内の展示物を拓本させてもらえないか」と頼まれたのが、拓本の魅力に触れるきっかけになった。

 当初は市販の書物を参考に自己流で拓本をしていたが、10年ほど前、親類の墓地整理をきっかけに古い墓標を後年まで残すため、本格的に拓本を取るようになった。

 現在は主に、許可を得て古い武家の墓石や句碑、許可された個人宅内の町石などを具体的に調べているそうで、今年の体験プログラム「いがぶら」でも、高倉神社(同市西高倉)から西側にある廃補陀落寺までの「和銅の道」を歩いて日本最古の町石を見て歩き、古民家で町石と古い瓦を拓本する予定だ。

 松本さんは「古い町石には、いにしえに行き交った人たちが道中さまざまな思いで道標に頼って歩いた、というロマンを感じる。そんな気持ちで拓本を制作するのも面白い」と笑顔で語った。

2019年10月12日付 757号 1面から