暑さもようやく一段落し、秋らしい風景があちこちで見られる季節になってきました。今回は、名張市の北西端に位置する葛尾から県境をまたぎ、隣接する山添村の岩屋、毛原を巡る約8・7キロを歩きました。(取材・山岡博輝)【1枚目の写真 毛原の集落を東側から一望】

 9月26日午後、出発地点は葛尾です。葛尾へは、近鉄桔梗が丘駅から薦原地域コミュニティバス「コモコモ号」が利用でき、月・木曜は夕方に1便、水曜は昼と夕方の2便が運行しています。

山添村の葛尾公民館から名張川を望む

 午後1時半に葛尾公民館前をスタート。神社脇を下るとすぐに奈良県境で、山添村の葛尾集落へ。名張市と奈良県の境にある隣り合った同名の集落は、ここ葛尾と鵜山、竜口があります。真っ赤なヒガンバナに目を奪われていると、民家の軒先に蛇や大きめの蜂がおり、辺りを見回しながら歩きました。

山添村葛尾の坂の上から名張川を望む

 穏やかな名張川の川面を望みながら下り、笠間川を渡ると再び三重県へ。川沿いから南側への県道を進むと、右手に見える山は高塚山でしょうか。青い空と緑の山々しか視界にはありません。道路ののり面には、赤と白のヒガンバナが競うように咲いていました。

葛尾から岩屋への県道沿いののり面に白いヒガンバナが群生していた

 県道を左手に折れ、川沿いの道へ。笠間川に架かる桑野橋から上流を眺めていると、何やら水音が。上流からザバザバと泳いでくる若い鹿を目撃しました。記者と目が合うと、川岸の茂みに隠れてしまいました。

笠間川の上流から鹿が泳いできた

 ここからしばらくは、右手に林、左手に田という風景が続き、時折ドングリや栗のイガが足に当たります。「平岩古墳」の看板を過ぎた辺りからは、林と防獣フェンスに挟まれた“通路”を歩いているようです。まだ2時台ですが、西日のような強い日差しが目に痛いほどでした。

毛原から岩屋、葛尾へと流れる笠間川

 ずっと続いていた田が途切れ、林の中へ。木漏れ日でキラキラ輝く川面が見え、川原へ下りて岩の上で小休止。滑らかに削られた岩の隙間を水が流れています。再び歩き始めてほどなく、視界の先に毛原の集落が見えてきました。

毛原構造改善センター近くでオレンジ色のコスモスが咲く

 坂を上ると、大きな礎石がいくつも並ぶ国史跡「毛原廃寺跡」の一部がありました。説明書きによると、奈良時代、この地に唐招提寺金堂に匹敵するほど広大な金堂があったとされ、他にもたくさんの遺構が残っているそうです。県道を西へ進み、構造改善センターで再び小休止。ここから東側の道路は拡幅工事中のため注意して通行します。

傾斜地に民家や茶畑がある岩屋の集落

 集落を外れると、緩やかな上りがしばらく続き、今度は岩屋の集落へ。右に保育園、左に旧東豊小学校があり、その先の集落内はカーブが連続します。中心部は傾斜地に民家がびっしり集まっている、という印象でした。細い路地を上り下りし、葛尾へつながる細道へ。自分の影がずいぶん長く伸び、日が短くなっていることを実感しました。

 頭上で鳴くカラスに急かされているように感じながら、午後4時すぎに葛尾公民館前に到着。歩数計は1万2650歩でした。予想通り汗だくにはなったものの、随所に秋らしい風景が広がっていました。