名張市立病院(同市百合が丘西1)の看護師らでつくる認知症ケアサポート委員会は、昨年10月から入院中の高齢者を対象に「院内デイケア」を開いている。発症や進行を遅らせる頭や体の軽い運動が主で、運営を支えているのは認知症の家族のそばにいた2人だ。【デイケアへの思いを語る前川さん(右)と西川さん=名張市百合が丘西1で】

「できること」を

 デイケアの発起人は、認知症だった父親を4年前に84歳で亡くした、看護主任の前川英子さん(51)だ。「父のため、奔走する母の力になれず、ふがいなかった」と後悔の念を抱き、「認知症の方々のため、看護師としてお役に立てる活動をしよう」と専門資格を取得した後、院内で理解者を徐々に増やし、開催が認められた。

 前川さんを支えているのも、妻が認知症だった同市桔梗が丘5の西川正さん(79)だ。2人は患者や家族が毎回約10人参加する会の中で知り合い、交流を始めた。

 5年前に発症した妻嘉津江さんを介護していた西川さんは「日々の変化についていけない」と苦悩する中で「前川さんと話をするうち、気が楽になっていった」と振り返る。

 嘉津江さんは同病院で入院生活を送った後、1年前に75歳で他界。「妻の入院中、前川さんはよく病室をのぞきに来て励ましてくれた。次は私が前川さんの活動を手伝う番」と、デイケアの発足時から毎回欠かさず、唯一のボランティアとして携わっている。

 デイケアは毎週木曜の午後2時から1時間、担当看護師3人と西川さんが指導役となり、60代から90代の入院中の高齢者約10人が参加。昔の歌謡曲や童謡、思い出話、お手玉や風船遊びなど、毎週さまざまなメニューを用意している。

 前川さんは「急性期の病院でできることは限られるが、参加する皆さんに良い影響が出ており、今後も続けていきたい」、西川さんは「集まった皆さんから元気をもらっていて、私こそ助けられている。今、できることをわずかでもやらせてもらいたい」と話した。

 市によると、今年4月1日現在、市内で日常生活に支障を来す程度の認知症症状があると判定された人は前年比155人増の2630人。

2019年9月28日付 756号26面から