名張市蔵持町原出の郷土史家、中相作さん(66)の著書「乱歩謎解きクロニクル」(言視舎)が、第19回本格ミステリ大賞を「評論・研究部門」で受賞した。6月22日には都内で贈呈式が開かれる。【受賞した著書を手にする中さん=名張市蔵持町原出で】

 同賞は、推理小説作家らでつくる団体「本格ミステリ作家クラブ」が主催。会員の投票で、5つの候補作から選ばれた。伊賀市出身では評論家で弁護士の巽昌章さん、小説家の麻耶雄嵩さんが受賞しているが、名張市からは初めて。

 受賞作は、昨年3月に出版され、乱歩のデビュー作「二銭銅貨」や、「陰獣」「双生児」などの作品について、過去の解説をまとめた評論集。「乱歩がなぜ自伝を執筆したのか」との疑問に焦点を当て、多角的に論じた。

 中さんは名張市立図書館で乱歩資料担当を1993年から15年間務め、収集資料を基に同図書館が刊行した「江戸川乱歩著書目録」などを編集した。今回の受賞は「とても励みになる。普段から資料収集に協力してくれる遠方の人にも喜んで頂くことができ、多少なりとも恩返しができたのがうれしい」と話し、今夏には乱歩と交流のあった詩人・萩原朔太郎が記した「猫町」の解説本を発表する予定だという。

2019年6月22日付750号1面から