今春の大学野球三重県リーグを制した皇學館大学(伊勢市神田久志本町)で、最優秀選手賞など4つの個人タイトルを獲得した、現代日本社会学部4年の奥谷行宏さん(22)(名張市梅が丘南)。チームは6月に東京・明治神宮球場などである「全日本大学野球選手権大会」への2度目の切符を勝ち取るべく、5月25日にある東海地区の春季選手権大会に臨む。【打撃練習に汗を流す奥谷さん=伊勢市楠部町のダイムスタジアム伊勢で】

全日本選手権目指す 皇學館大野球部で活躍

 奈良県橿原市出身で、小学3年の時に名張へ転居。当時はサッカーに打ち込んでいたが、小さいころから父隆行さん(49)とキャッチボールはしていた。野球は中学から始め、名張桔梗丘高(現・名張青峰高)では俊足強打の中軸として、時には投手としてチームを引っ張った。

 高校卒業後は野球から離れるチームメートも少なくないなか、「大学でもまだまだ野球がやりたい」と、県内外の強豪校から集まったライバルたちと競い合い、木製バットへの対応に苦しみながらも1年春から外野のレギュラーに定着する。名張から往復3時間の電車通学に加え、「高校までと違い、自主性が問われる環境」の中で、ウェートトレーニングや自主練習を欠かさなかった。現在は身長179㌢、体重80㌔。走塁面ではスタートタイミングを改善して盗塁数を増やし、守備でも外野の要として堅実な守備をみせてきた。

走攻守そろう

 最高学年となった今春のリーグ戦は全8試合に出場し、最優秀選手賞以外に、本塁打王(2本)、盗塁王(10個)、ベストナイン(外野手)も獲得。開幕前にキーマンとして奥谷さんを挙げていた森本進監督(60)は「走攻守三拍子そろった選手で、努力を惜しまず、普段の練習からこつこつやってきたことが実を結んだと思う」と評価する。

高校時代の奥谷さん(2015年7月、伊勢市で)

 名張西高との統合を控え、部員数も少なかった高校時代は「学年の上下にかかわらず、一丸で甲子園を目指した日々が自分を成長させた」と振り返る。センターから右方向に強い打球を飛ばせる打撃は、当時も今も変わっていない。大きなけがで戦列を離れることもなく、丈夫に育ててくれた両親への感謝は尽きないという。

 入学当初、同学年の選手は35人ほどいたが、就職や進学を控え、春季リーグを最後に引退する選手も多く、秋季リーグまで残るのは奥谷さんを含め10人ほど。「4年間苦楽をともにしてきた皆と神宮球場へ行きたい。卒業してもプロや社会人で野球を続けていけるよう頑張りたい」と抱負を語った。

 東海地区選手権は伊勢市楠部町のダイムスタジアム伊勢(倉田山公園野球場)で。三重代表の皇學館大、静岡代表の東海大海洋学部、岐阜代表の中京学院大が巴戦に臨み、優勝校が全日本選手権に出場する。皇學館大は2015年春と18年秋に県リーグを制し、15年には全日本選手権に初出場している。

2019年5月25日付748号1面から

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