名張市の南西部に位置し、奈良県境と接する竜口地区に、今年もヤマザクラが淡いピンクや白色の花を付けた。15年ほど前から山の斜面などに850本の苗木を植え、育ててきた地元の市民団体「伊賀竜口ヤマザクラを育てる会」が、創設20年を迎える2021年には1千本まで増やそうと、息の長い活動を続けている。

 4月下旬、地元出身で現在は市外に住む15人が竜口公民館に集まった。今年、育てる会が結成した「ヤマザクラ草刈り十字軍」のメンバーだ。21年までの3年間、地元住民らと協力して桜の下草刈りや獣害対策など年に3回活動する。この日は今後の活動の確認とヤマザクラの開花状況の視察をした=写真。

 同会では、桜の植樹や保全に取り組む「日本さくらの会」から、これまで7回にわたり寄贈された苗木を植えてきた。当初の3年間は荒れた山の斜面をならし、雑木を切るなどして環境を整備。その後、東西に長い集落に沿って全長約1キロの山の斜面や畑にヤマザクラとイロハモミジの苗木を植えていった。その間、台風や獣害の被害で倒木したり、立ち枯れた木もあったが、会員らで植え替えた。

 今年、緑化のための植物育成などに取り組む「都市緑化機構」の助成を受けたのを機に、十字軍を結成。刈払機やヘルメット、長靴などを購入し、専用小屋も建てた。奈良市から参加した松本雅晴さん(75)は「竜口は、このまま放置すれば原野になってしまう。草刈りや植樹に参加することで、愛着のある古里が花の名所になって人が集まり、元気になれば」と十字軍に参加した動機を話す。

 1千本植えた時には桜祭りを開催したいという同会の谷川正行代表(77)は「平均年齢が70歳を超す地元住民の力だけでは限界があります。皆さんの力と知恵をお借りして、忍者の里、ホタルのすむ自然豊かな竜口に、ヤマザクラの見事な花を咲かせたい」と話す。

2019年5月11日付747号26面から