兄弟のように同じ景色を見て育った名張市出身のいとこ2人が、幼少期に過ごした祖父母宅のある同市鵜山に敬意を表したブランド「UYAMA」を立ち上げた。SNSを通じて全国発信したブランドは、徐々にファン層を広げている。【「UYAMA」ブランドの服とかばんを身に着ける今坂さん(左)と山本さん=名張市鵜山で(提供写真、3枚とも)】

 2人は都内在住の会社員、山本健太郎さん(25)と名張市美旗中村、飲食店店員、今坂友哉さん(25)。学年では山本さんが1つ上の、仲の良いいとこ。

 いずれもアパレル関係の仕事に就き、2年前には、それぞれの職場に近い大阪市内にマンションを借りて同居。一緒に暮らすうち、生まれ育った名張市や祖父母に「恩返しがしたい」という気持ちを持つようになった。具体的な内容を模索するなか、2人が得意とする「アパレルをやろう。『鵜山』を使って発信しよう」と決意。海外でも通じるようにブランド名をアルファベットで「UYAMA」にした。【キャップをかぶる祖父母の今坂吉成さん(左)と美智子さん】

 1年半前、東京に転勤になった山本さんと地元に戻った今坂さんは本格的に動き出す。2人で貯めた資金を基に、最小ロットで製作してくれる工場探しを始めた。これが一番苦労したそうで、東京と三重の工場と交渉し、契約を結んだ。そして昨年4月から、Tシャツとキャップのネット販売を開始した。

 販売と同時に、今坂さんが声かけした地元の高校生7人を「UYM・youth」と名付け、商品を提供し、モデル撮影。生徒たちが、SNSで発信した。【トレーナーを着て撮影する「UYM・youth」の高校生】

 また、山本さんは都内などで名張を知らない人たちに声をかけてアイテムを着てもらい、その姿をSNSに投稿。祖父母にもキャップを進呈し、キャップをかぶってはにかむ姿を投稿した。

 そんなユニークな発信方法が評判を呼び、全国から「鵜山ってどこ」「鵜山に行ってみたい」などのコメントも寄せられるようになったという。

 2人がブランド作りで心がけているのは「ユニセックスでシンプル、分かりやすいデザイン」だ。秋冬用のトレーナーの他、スマートフォンケース、トートバッグ、キーホルダーなどアイテムも広がりを見せ、公式サイト(http://www.uyama.online/)に掲載。「いつも身に着けていてもらいたい」という思いは当初から変わらない。

 新作の準備もできており、4月に展開予定だ。夢は「海外進出」と語る2人。「将来的には、地域を盛り上げ、鵜山に家を建て、自給自足をしながら暮らしていきたい」と目を輝かせている。

2019年2月23日付742号1面から

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