170927_11.jpg 軽くて強度があり熱にも強いため、住宅設備機器などに使われているのがFRPと言われる強化プラスチック樹脂だ。FRPは樹脂にガラス繊維などを混ぜたもので、浴槽や洗面カウンターなどに成形・加工しているのが、伊賀市下阿波にあるモリマープレミックス株式会社。【巨大な2500トンのプレス機=伊賀市下阿波で】


 同社は、合成樹脂やガラス繊維、化学品を生産販売し、国内10社、海外7社のグループ会社を形成している日本モリマーグループ(森修平社長・グループ年商約400億円)の一つで、創業は1985年。同グループの中では最も歴史のある工場だ。

170927_11-2.jpg 現在、従業員は女性20人を含め134人で、年商は28億円。常務取締役の伊藤隆行さん(49)と営業部長で取締役の下中永一さん(48)に聞いた。【商品の仕上げ加工では女性が活躍=右写真】

 工場に入ると、2階建てビルの高さに相当する2500㌧の巨大なプレス機4台を始め、1千㌧以上の大型プレス機を主力に合計17台稼働している。「グループ全体でFRPのプレス機を約70台保有。台数も生産する総トン数も国内最大の規模です」と伊藤さん。ビジネスホテルに納める大型のユニットバスも、大型プレス機なら一体で成型できるという。

 FRP業界では10年ほど前から会社の統廃合を繰り返しており、次々と廃業に追い込まれる会社があったなか、同社は生き延びてきた。

 「この業界は品質、コスト、納期の全てにお客さまの要求は非常に厳しいです。外見一つとってみても、ヨーロッパやアジアの市場では全く問題が無くても、日本市場では通用しないし、満足させようとするとコストがかさみ、納期も厳しくなる。当社はそうした厳しい要求に必死に対応してきました」と下中さん。

 リーマンショックの時、同社が打った手が人材の若返りだった。「リーマンショックの影響で人員が自然減になった時、『工場で新しく採用するのは若い人、それも地元人材を』という方針でやってきました。また、派遣切れになった人をできるだけ正社員として採用しました。結果、当時の工場の平均年齢は42歳でしたが、今では38歳。こうした若い力が工場を切り盛りして頑張ってくれています」と伊藤さんは話す。

 同社では安全と5S(整理・整頓・清掃など)の小集団活動にも力を入れている。工場内の10グループが毎月2件、改善策を出しており、モリマーグループとして評価し、年1回表彰している。

170927_11-3.jpg 活動は毎月、国内工場間を結び、テレビ会議=写真=で情報を共有している。「グループとして互いの競争意識も大事ですが、そればかりでは疲れてきます。何事もオープンにし、互いに高め合っていくことで、相乗効果も生まれています」と伊藤さん。

 「ホークアイ(鷹の目)」というユニークな活動がある。工程で不具合が発生した時、その事実を担当者はきっちり文章にして「ホークアイBOX」に入れ、次部門に伝える。下中さんは、「セクショナリズムがあると、そうした不具合の事実が隠れてしまったりしますが『鷹の目』のように高い視点から、部門の垣根を越えて情報共有することで、未然の防止策にもつながります」と説明する。

 FRPの今後について、下中さんは、「今までは水回り商品の代名詞でしたが、軽量化、低燃費の実現のために自動車分野の需要が増えており、新たな引き合いが急増しています」と語る。

 伊藤さんは「業界の中でのオンリーワン企業を目指し、人材の育成と技術の継承に力を入れていきたい」と力強く語った。

2017年9月9日付707号16、17面から