170117_1.jpg 奈良・東大寺二月堂の修二会(お水取り)で使う松明を納める伝統行事についての企画展「語り継ぐ伊賀一ノ井松明調進行事とお水取り 道観長者伝承」が2月26日まで、名張市安部田の市郷土資料館で開かれている。入場無料。【調進行事で担ぐ寄進松明を紹介する山口さん=名張市安部田で】

 企画展はお水取りと同行事との関わりを広く知ってもらおうと、昨年に続いて企画した。展示には760年余りに渡り松明を寄進してきた同市赤目町一ノ井の住民らでつくる「伊賀一ノ井松明講」と、行事を支援する「春を呼ぶ会」が協力した。
 今回は、同寺と名張の関わりや調進行事の起源などを10数点のパネルで紹介。地元の伝承では800年ほど前、赤目町一ノ井の大金持ち「道観長者」が、民を粗雑に扱った自身の行いを悔いた遺言が調進行事の始まりとされており、伝承にまつわる場所や資料を地図や写真とともに解説した。
 一方、東大寺の記録では、同寺の荘園だった「黒田庄」を任されていた僧侶「聖玄」が松明を寄進したのが始まりとされていることから、展示の中で道観長者が実在したかどうかの考察も試みている。
 パネルの他にも、講員が担ぐ「寄進松明」や二月堂で配られる護符「牛玉宝印」(ごおうほういん)、昨年の修二会で使われた松明の芯木の「燃え残り」など、現地でしか見ることができない貴重な品の数々が展示されている。
 同資料館の山口浩司さんは「展示を通じて知らない方に興味を持ってもらい、伝統文化の継承や支援につなげたい。昔話の中にも今の伝統行事が息づいていることを知ってほしい」と話している。
 時間は午前9時30分から午後4時30分まで。月、木曜休館(祝日の場合翌日)。同資料館は2月4日午後1時30分から同3時30分まで、近くの錦生市民センターで過去の様子を記録した映像の上映会を開く。無料。
 問い合わせは同資料館(0595・64・7890)へ。
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