身近な地域を実際に歩いて巡る「てくてく歩記」。深緑や季節の花を求めて山歩きに出掛ける方も多い季節です。今回は、3月末に新しいトレッキングコースが設けられた名張市の赤目四十八滝渓谷と、その入口付近に位置する長坂山を歩く約6キロのコースです。(取材・山岡博輝)【1枚目の写真 長坂山山頂手前からは温泉街や名張市内方面を一望】

 従来からあった長坂山への登山道に加え、同渓谷の中腹にある百畳岩付近から長坂山までのコースを同渓谷保勝会が整備。3月27日の「滝まいり」行事で開通式典が行われました。

 記者が歩いたのは大型連休明けの5月13日。ほぼ快晴で、伊賀地域では気温が27度前後まで上がり、汗ばむ陽気でしたが、山に囲まれた渓谷内は少し涼しさもありました。渓谷入口の駐車場には他府県ナンバーの車が並んでいます。
 
 午後0時半、日本サンショウウオセンターを出発。管理事務所のスタッフにコースについて尋ねると、「百畳岩から上がるところが急で、最初の40分はきついよ」とのこと。数日前に雨が降った影響か、最初に現れる行者滝、不動滝は水量も多く、乙女滝にはカメラを構えた入山者が大勢集まっていました。
【新緑が映える百畳岩周辺】
 
 千手滝、布曳滝、竜が壷、斧が淵と続き、約40分後に百畳岩へ到着。この辺りの標高は約425メートル。その手前に新しいコースの入口があり、看板も出ていますが、明らかに斜面を登る様相……。小休止し、意を決してコースへ足を踏み入れます。
 
 まだ新しい階段状の道を上っていくと、少しずつ水音が遠くなり、鳥のさえずりが聞こえてきます。しかし、急坂で息が上がり、補助用の真新しいロープを時折つかみながら、休み休みしか進めません。息を整えていると、両側が想像以上に急な斜面になっていたことに気付かされます。
【百畳岩からしばらくはこうした階段が続く】
 
 百畳岩から約30分で標高610メートル地点に到達。まだ視界は開けませんが、一転、木立の中の下りとなり、滑りやすい足元に気をつけながら進みます。傾斜が急になり、竜口方面から続く林道へ合流。そこから200メートルほど西へ進み、林道脇の山中へ分け入っていきます。
 
 ヒノキなどの林を抜け、尾根に出ると、この日初めて視界が開け、渓谷入口の温泉街や遠くには名張の市街地、伊賀盆地を囲む山々まで見渡せる場所に来ました。しばらく立ち止まっていたい気分でしたが、斜面が急で「転落注意」の看板が出ていることもあり、先へ進むことにしました。
 
 百畳岩から約1時間半、標高約585メートルの長坂山山頂に着きました。三角点があり、周囲の木には登山グループが残していった記念の札がかかっていますが、眺望は開けていません。ここからはひたすら下りに。小休止の後、尾根を下っていきます。
【林間の道には案内看板も設置されている】
 
 下りの傾斜はなかなか急で、しばらく下り続けると両ひざが笑う、というより痛んできたように思えました。ひたすら足元だけを見ながら進んでいき、車道に出たら渓谷入口の方へ。午後3時半、スタート場所へちょうど3時間後に戻ってきました。歩数計は1万970歩でした。
 
 今回のコースは、散策やウォーキングではなく登山の要素がほとんどです。足腰や体力に不安のある方にはお薦めできませんが、「渓谷の散策だけで帰るにはもったいない」「ちょっと違うルートで赤目を歩いてみたい」という健脚の方は一度訪れてみてください。
 
 現在のところ、ルートは一方通行。百畳岩付近の入口に注意書きもありますが、単独での入山や日没の可能性がある時間帯に入山することは避けてください。
 
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※今回のマイマップはGoogleマップに無い道があるため、掲載できません。ご了承ください

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