川に浮かぶ島のよう 名張・薦生

大きく蛇行する名張川に囲まれた薦生集落(小型無人機で撮影)

 三重県名張市の薦生集落を空から眺めると、名張川が大きく弧を描き、集落を包み込んでいた。まるで川に浮かぶ島のようだ。

 集落は名張川に三方を囲まれた台地上にある。地名は、薦の材料となる葦などが川辺に群生していたことに由来すると考えられている。

 その名は平安時代中期、10世紀半ばの東大寺と藤原氏らの所領争いに関する文献中に「薦生牧」として登場する。牧は牛馬を育てる牧場を意味し、川と丘陵に囲まれた地形は家畜飼育に適していたという。2021、22年には薦生遺跡の発掘調査が行われ、約1300年前の奈良時代の役所に関わるとみられる大型掘立柱建物跡なども確認された。

 川は豊かな恵みをもたらす一方、水害の脅威とも隣り合わせだった。薦生で生まれ育った住民男性(73)は「川で魚を取ったり、遊んだりして育った」と振り返る一方、「伊勢湾台風では家が浸水したり、橋が流されたりした」と話す。小学校へ行くため、小舟で川を渡った記憶も残っているという。

 現在は堤防も整備され、川沿いには桜並木が続く。「春は堤防の桜が本当に奇麗」と男性。住民らで桜の管理も続けているという。

 市がまとめた町別人口統計によると、今年6月1日現在の薦生の人口は119人、世帯数は60世帯。男性は「若い人は減っているが、魅力ある土地。いつまでも残ってほしい」と願っていた。

– 広告 –

– 広告 –