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▼読者がん体験| 触診モデルで啓発セルフチェック

連載 第3回:読者がん体験

柔らかい“しこり”も注意

幼な子抱えた母 「死んでたまるか」 奈良県宇陀市 Eさん(53歳)
自己検診も定期検診もしていたのに、かなり進行するまで乳がんが発見できなかったというEさんから、自らの体験をつづった1通の便りが届いた。「がんになってしまったことよりも、検診を毎年受けていたのにというショックの方が大きかった。前年には乳腺症の確認ということでエコーまでしていたのに、それとは反対側の異常はないとされていた右の乳房にあったのです」(手紙より)という驚きの事実を取材するため、Eさん宅を訪れた。

愛犬との散歩を日課にするEさん
▲愛犬との散歩を日課にするEさん

父を腎がんで亡くし、母方の3人の叔母も相次ぎ乳がんを患っていたことから、入浴後には乳房を鏡に写し、触診でもセルフチェックをしていたEさんが、なぜがんを発見できなかったのか。
30歳から毎年市町村検診を受診していたEさんは44歳の時、右の脇の下に痛みを感じ、かかりつけの医者から大病院での受診を勧められた。最初に訪ねた地元の病院では「何ともない」ということだったが、納得がいかないことから車で1時間の総合病院で受診。細胞診の結果、「99%がん」と告知された。それも、脇リンパにも転移のみられる相当進んだ状態。当時、まだ幼い子どもを抱えていたことから、「死んでたまるか」という母親としての強い思いに、崩れそうな気持ちが支えられた。
 「がんのしこりは硬いもので、手で触れると違和感があると思い込んでいた。硬くない柔らかいしこりもあるという私の体験を伝えたい」とEさん。5.5センチ×3.5センチの大きさに成長したがんは乳首に近い所にも直径1センチほど転移していたが、外見からは何ひとつ変化は無かったという。

右乳房全摘
子どもたちを実家に預けて右乳房全摘の手術を受けたが、「ぺちゃんこになった胸に恐る恐る手を伸ばした時の寂しさは忘れられません」。退院と同時に、抗がん剤治療とホルモン剤投与が続き、手術から2年半後にようやく完治にこぎつけた。
以来、恐れていた再発転移もなく、5年前から自宅近くの職場にパート職員として働いている。仕事に役立つ知識を身につけるため、「緑花文化の知識認定試験」にチャレンジし続け、昨年は1級認定を取得。今年は最上級の特級を目指すことを元気の源にしているそうだ。
今年の夏で術後10年。「少しでも早い発見、受診の勇気を持ってほしい」とEさん。1日たりともがんという文字が脳裏から離れたことはないが、「今を一生懸命に生きること」を念頭に置き、大切に時間を過ごしている。

YOUよっかいち