三重県名張市下比奈知にある近畿環境サービス株式会社(本社・大阪市西淀川区)名張事業所は、名張市から委託を受けているつつじが丘などの住宅地や食品工場などの汚水処理施設の維持・管理業務を担う。更に同市上比奈知では食品工場から出る食品残渣や汚水処理施設から出る汚泥などを集荷し、微生物の力で発酵させて堆肥化する「環境ワクチンセンター名張」を稼働させている。
生活排水や食品工場から排出される有機性廃棄物から肥料を作り、田畑の土壌づくりやゴルフ場の芝の育成などに使用して再資源化を図ることは、同社が目指す循環型社会の実現、SDGsの実践の模範事例と言える。
1991年に排水処理業務を中心に名張市で創業した同社は近畿、東海地区を商圏に発展してきた。09年からは、食品工場などから排出される有機性廃棄物を堆肥化する事業を開始した。
比奈知ダム南側の斜面を登りつめた約7万5千平方メートルの敷地に建つ環境ワクチンセンター名張。YM菌と呼ばれる微生物を使い、90度以上の高温で発酵させて肥料にしている。1日で約100トンの生産能力があり、生産した肥料は「かんとりースーパー名張2」の商品名で販売している。
この肥料に含まれる微生物と土壌中の微生物との相乗効果で、土中の有機物の分解が促進され、土壌改良剤としての効能も持ち合わせ、農家などのユーザーから好評だという。
同事業所所長の髙橋大樹さん(48)は「排水処理した後の汚泥などは、過去に行われていた海洋投棄などでは環境負荷を生む要因になっていたが、当社では肥料として再活用することで循環型社会に貢献している。こうした取り組みは、同業企業では珍しい」と話す。
NPO法人と協定
こうした循環型社会の実現を一歩前進させる取り組みとして、同社はこのほど兵庫県丹波篠山市を拠点に活動するNPO法人「Green Days Japan」と、地域循環型農業・資源循環連携協定「サステナブル・ライス・パートナーシップ」を締結した。

同法人は丹波篠山市で、担い手不足や獣害問題などにより耕作放棄地が増えるという中山間地域の課題に向き合い、新しい発想で稲作の継続に取り組んでいる。
担い手不足に悩む農家から農地を借り受け、米作りのプロの他に、モータースポーツのアスリートなど多様なメンバーで構成するスタッフが稲作を担う。
また「耕作放棄地を解消する」という同法人の理念に共感する企業を募り、協賛や連携を活動の原資として、農機具の整備や人材育成、稲作の継続に役立てている。収穫した米は連携企業の福利厚生などに活用される一方、地権者には地代として還元される仕組みだ。
同法人理事の上本浩之さん(47)は「こうした活動を通じて、日本の農業を守る稲作に、資源循環型モデルを構築したい。日本人の主食である米を安定的に生産し続け、若い人たちが農業に関われる新たな雇用づくりにもつなげたい。将来的には名張市でも活動できれば」と今後の抱負を語る。
今回の協定では、近畿環境サービスが食品残渣や汚泥などを再資源化して製造した肥料を同法人が購入し、田んぼの土壌の元肥として土づくりに活用する。その米を同社が購入し、従業員の福利厚生に生かすという。
髙橋さんは「これは資源循環を形にした一つの理想的なモデル。当社の肥料を活用いただくことで、中山間地域における稲作の課題解決に関われることは喜び」と話している。
問い合わせは同事業所(0595・67・2100)、電子メール(info@eco-kks.co.jp)で。









