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▼特技を希望に | 再発と転移 忘れた頃に

連載 第7回:特技を希望に(伊賀市 楠原さん)

過去に乳がんを患う

プールでの水泳を日課にしている伊賀市荒木の楠原珂代子さん(68)。ハーモニカなどの特技で社会貢献をと前向きに生きるが、4年前に乳がんで右乳房全摘とリンパ節切除というつらい経験を持つ。

楠原さんは手術を受けた当時のことを「頭の中が真っ白で何も考えられなかった」と振り返る。しかし、本当につらかったのは退院後に抗がん剤治療による脱毛、食欲不振、倦怠(けんたい)感、再発の恐怖だった。その上乳房を失ったつらさが重くのしかかり、右胸を右腕で隠した。

それまで取り組んでいた乗馬、日本舞踊、ピアノ、洋裁など幅広い趣味活動はすっかり影を潜めた。そんな折、ばったり会った知人が、同じように乳がんで乳房を失ったと聞いたことが、心を開くきっかけになったそうだ。

得意の水泳でも体のバランスが取りにくいこと、両手を上げにくいことなどの困難にぶつかっている。それでも「多くの仲間に会えて話ができることが励み」と楠原さん。

10数年前に始めたハーモニカの数は、メロディーを奏でるものから伴奏専用のものまで15本。楠原さんは「福祉施設などで演奏して喜んでもらいたい」と、心身の不安を希望に変えて微笑んだ。

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