三重県伊賀市と芭蕉翁顕彰会は10月7日、芭蕉翁献詠俳句と絵手紙の特選・入選作品を発表した。特選は89点で、作者は松尾芭蕉の命日に当たる12日に市内で開かれる「第80回芭蕉祭」の式典会場で表彰される。
同顕彰会によると、俳句以外に絵手紙、ポスター原画も含む今年度の応募総数は2万5804点で、児童生徒の部の応募上限を1人4句から2句に減らした影響もあり、前年度より8千点余り減少。部門別では、一般の部7736句(前年度比122句減)、テーマの部1416句(同537句減)、児童生徒の部1万3500句(同7164句減)、英語の部1662句(同60句減)、連句138巻(同7巻増)、絵手紙733点(同59件増)だった。
学校全体で意欲的に創作活動に取り組んだ「三重県知事賞」には、伊賀市の市立中瀬小と同霊峰中が選ばれ、芭蕉祭のポスター原画は、伊賀市立成和西小6年の坪田紗依さんの作品が最優秀賞に輝いた。
ポスター原画の入賞・入選作品36点は、10月13日までハイトピア伊賀(上野丸之内)5階ギャラリー、10月23日から11月2日までの平日に市役所本庁舎(四十九町)1階市民スペースで、午前9時から午後5時(市役所本庁は同4時30分)まで展示される。見学自由。
各部門の特選作品は次の通り(敬称略)。
〈一般の部〉
【稲畑廣太郎選】
箱を出て風鈴風のものとなる(神戸市、玉手のり子)
険しさを知り尽くしたる登山靴(津市、野田三枝子)
【井上弘美選】
ゆふかぜに重心うつす端居かな(府中市、日暮原子)
手ほどきを父より受けし洗鯉(伊賀市、服部晶子)
【井上康明選】
鈴の名の山河涼しき伊勢の国(津市、山崎満世)
青嵐伊賀の陶土のありどころ(伊勢市、久世伸子)
【小川軽舟選】
箍締むる桶屋涼しき板間かな(伊賀市、佐々木経子)
スコールの過ぎて挙式の鐘鳴りぬ(小田原市、山﨑美知子)
【小澤實選】
子燕の大き餌嘴へ押し込まる(甲賀市、服部登紀子)
菜の花や次の古墳へペダルこぐ(名張市、森川和)
【櫂未知子選】
空蟬や樹は千年をながらへて(川崎市、百田広香)
ぽんと虎杖世を捨てるにはあらねども(松山市、杉山望)
【坂口緑志選】
塒鷹や陶師は孜々と釉つくる(名古屋市、田辺満穂)
袱紗とくごとくにほどけ杜若(伊賀市、島井節)
【谷口智行選】
そちらにも咲いてゐますか山桜(神戸市、たなかしらほ)
農鍛冶の煤を拭ひて餅飾る(広島市、森本弘子)
【西村和子選】
会はんとは書かずなりたる賀状かな(四日市市、佐藤径)
抽斗に小貝眠れる翁の日(台東区、高橋桃衣)
【長谷川櫂選】
音たてず船は沖より春の中(蒲郡市、小田知加子)
最上川の水引き入れて田植かな(兵庫県、坂元初男)
【福山良子選】
就活のスーツ色あせ吾子の夏(伊賀市、山本弘子)
夏めくや大和街道通り雨(伊賀市、橋本秀子)
【星野椿選】
晩年の心の支へ虚子祀る(伊賀市、森中幸枝)
国宝の城ある町の鵜飼かな(江南市、柴田蒼生子)
【堀本裕樹選】
緑の夜吾子は明日のバット抱き(紀の川市、中島走吟)
たんぽぽの絮が絮追ふ棚田道(伊賀市、猪岡節夫)
【正木ゆう子選】
歯ブラシを替へて抵抗熱帯夜(宮城県、武田悟)
介護士の汗シャツ摑み五歩六歩(長崎県、山口美由喜)
【三村純也選】
ひらがなのここちの日向ぼこりかな(桜井市、中博司)
顔見世の弁当を選る楽しみも(京都市、織作香代)
【宮坂静生選】
寒柝の一打や星のうち揃ひ(京都市、宇野恭子)
ユーカラに遊む合いの手夜の秋(所沢市、宮岡光子)
〈テーマの部〉テーマ=「広」
【片山由美子選】
広沢池に月の出待つ小舟(伊賀市、森中幸枝)
ていねいに広縁みがき月祀る(日野市、田村登代子)
〈英語俳句の部〉
【河原地英武選・訳】
last breath
snow falling
on snow
雪の上に雪の降りつむ末期かな
(Cam M. Sato、USA)
cool moon-
the shipwright’ s ink line
across the plank
船大工墨引く板や月涼し
(Haijima Rinko、Japan)
〈児童生徒の部〉
【保育所(園)・幼稚園、小学1~3年=岡森競一・坂石佳音・服部登紀子・東構東子・森永康子共選】
あかとんぼなんどもちょうせんさかあがり(伊賀市、白鳳幼稚園、冨田心祢)
かぶとむしいつからいたのいえのまえ(伊賀市、曙保育園、井上廉)
なつまつりいちばんまえでおどれたよ(伊賀市、白鳳幼稚園、中森帆南)
くさかりのあとはにおいもみどりいろ(伊賀市、西柘植小1年、西川維月)
ならいたてひらがなつかいしょちゅうみまい(伊賀市、上野北小1一年、加藤紬)
ええあいでかいかたしらべたかぶとむし(伊賀市、上野東小1年、一瀬美里)
くさやきでけむりみまもるしょうぼうだん(伊賀市、三訪小2年、竹下琴菜)
校ていでキュッキュとともだち雪の音(伊賀市、上野西小2年、沖田梛斗)
かぜすずしおおきくみえるやきゅうじょう(伊賀市、久米小2年、ファンナットミン)
パパならぶわたしのためのかきごおり(伊賀市、阿山小3年、松本一華)
なつまつり七人たたくこんちきち(伊賀市、大山田小3年、中嶋木菜)
ころもがえぼくのタンスは兄の服(伊賀市、友生小3年、中川湊斗)
【小学4~6年=池本準一・佐々木経子・島井節・下村哲朗・中西紀歩共選】
庵の庭かやりのけむりあちこちに(伊賀市、中瀬小4年、榎並祐樹)
かぶとむしかぞくかいぎでなまえぎめ(伊賀市、上野西小4年、森本響)
光ったとさけんでしまういな光(伊賀市、上野南小4年、山中翔太)
夏の夜赤門てらす竹あかり(伊賀市、上野西小5年、家城奏華)
五秒後に手からこぼれるアイス汁(伊賀市、上野南小5年、西尾恭介)
足早の母の前には積乱雲(伊賀市、上野南小5年、西山朱莉)
巣立っても古巣でねむるツバメの子(伊賀市、中瀬小6年、濱田花麟)
昼寝する父の寝顔に母笑う(伊賀市、上野西小6年、原田心央)
とつぜんのゲリラ豪雨にうずくまる(伊賀市、府中小6年、山田ルーク)
【中学校=岡島千秋・中島庸子・西田ゆかり・松村咲子・森岡秀美共選】
蝉の声木陰でひとり風を聞く(伊賀市、緑ヶ丘中1年、ローラレンゾ)
新米を総出で担ぐ蔵の前(伊賀市、崇広中1年、加戸暖人)
新記録の砲丸投げや雲の峰(古賀市、古賀東中1年、山口覇空)
クマベルと夏の陽背負い歩く尾根(伊賀市、崇広中2年、藤本紗葵)
御神木仰げば空に蝉しぐれ(郡山市、大槻中2年、桑名優空)
五月晴れせんたく物とはしゃぐ犬(伊賀市、霊峰中2年、前田紗良)
積ん読を崩さぬままの夏休み(伊賀市、崇広中3年、平原あかり)
烈風をぐいぐいと飲む鯉のぼり(古賀市、古賀東中3年、高野千佳)
いつの間に眩しいあいつ雲の峰(桑名市、光風中3年、佐久間勇仁)
【高校=岡島千秋・中島庸子・西田ゆかり・松村咲子・森岡秀美共選】
絵の具の香残りし梅雨の美術室(三重県、紀南高校3年、久保洸輝)
秋気澄む襟を正して一勝負(碧南市、碧南高校3年、磯貝琴音)
戻り梅雨負け試合後の更衣室(三重県、熊野青藍高校紀南校舎2年、前地来飛)
〈連句の部〉
【小川廣男・小池正博・西田青沙・森川敬三共選】










