※当記事の情報はすべて初回掲載時のものです。

スッキリしてる?【政務活動費】 名張市議会 後半

調査目的 市政との関係は

領土問題!? 北方領土の資料館も視察

 名張市議会(定数20)の議員が2016年度の政務活動費を使って、市政などに関する調査でどこの、何を視察したか。収支報告書などの資料によると、宿泊を伴った視察は11件で、専門家への調査委託として支出した新たなケースもあった。【心風会(4人)所属の3人が見学した根室市にある北方領土の資料館についての視察報告書の一部】

新ケース 専門家に調査委託

 視察などの調査研究費は、使途項目のなかで研修費に次いで2番目に多く、支出額は全体総額の約690万6千円に対し、28・2%に当たる約194万8千円だった。特例条例で議員1人当たり年12万円の減額をする前だった15年度は調査研究費だけで約332万4千円を支出していた。

 会派別では、「清風クラブ」が2月にいじめ問題で東京都足立区を視察。「公明党」は4月に中小企業などの起業や経営支援、公共施設の木造化で栃木県足利市と鹿沼市を訪れた。

 約91万1千円を調査研究費の旅費に使った「心風会」は公明党と同じ日程と目的で足利市と鹿沼市を訪問。7月には官民連携によるPPP事業とPFI事業(民間資金を活用した社会資本整備)で福岡市に、2月にはふるさと団地の元気創造推進事業で大分市に赴いた。

 また、心風会は領土問題と接する地元自治体を2年連続で訪れている。昨年度は10月に北海道釧路市と根室市を視察。目的の主は都市経営プランと議会改革の取り組みだが、北方領土問題として納沙布岬にある資料館「北方館望郷の家」も見学した。15年度は尖閣諸島(沖縄県)、竹島(島根県)に関連した施設や機関を訪れている。

 「喜働」は7月に富山県黒部市にターゲットバードゴルフ大会の運営視察、8月に千葉県流山市などに保育送迎ステーション、10月にデマンドタクシーなどで愛媛県今治市と宇和島市を訪問。2月は「通院対応のりあいタクシー」などを目的に新潟県の村上市と新発田市、仙台市を訪れた。

財政と土地の調査で

 「日本共産党」は旅費に用いず、元大阪市職員で都市行政コンサルタントの男性に「名張市財政の健全化」の調査委託費として10万3千円を支出。「改新」も視察は行わず、浦崎陽介議員が小中学生の通学路になっている市道新田南古山線の土地調査で委託経費5万8千円を支出した。

支出の上限超えた「広報費」

議運委で議論 委員間で賛否

 名張市議会の議会運営委員会が16年度政務活動費の収支報告について協議し、会派「改新」の広報費が政務活動費マニュアルで決めた支出額の上限を超えていたことを取り上げた。広報費を巡っては15年度分でも議会内で取り上げられ、議員の間で賛否が分かれている。

 議運委が決定した申し合わせによるマニュアルで広報紙、市政報告会、ホームページなどの経費は「政務活動以外の活動と混同される恐れがある」とし、支出分の3分の1を上限としている。昨年度途中に結成した改新への交付額は下半期分54万円。支出した50万2539円のうち広報費として15万9935円を案分せずに支出し た。

 広報費は所属する柏元三議員が発行した広報ちらしの印刷、配布などの経費。柏議員は無会派だった上半期にも、広報費の一部として駅前や交差点での街頭宣伝経費を含む21万490円を全額支出している。

 7月3日の議運委で、改新の経理責任者で会派代表者の山下登議員は「会派名も入れ、会派内で内容も精査し、政務活動以外の活動と混同されないと判断した」と説明。議運委メンバーの柏議員本人も「マニュアルはルールではなく指南書。議員である限り、案分なしの請求は続ける。おかしいなら私に『請求するな』というのではなく、市が私に払わないよう手続きを取るべきだ」と持論を述べ た。

 他の委員からは「マニュアルがおかしいのならば議論で変えていくべきだ」「疑義を感じている。住民監査請求をすることも含め検討したい」との声が上がった。一方で「会派が判断したのであればそれでいいのでは」との意見もあった。

ギフト券で報告修正

  YOU704号(7月22日発行)の「スッキリしてる?【政務活動費】名張市議会〈前半〉」で取り上げた、タブレットパソコンのケース(2544円)を購入した時に2千円のギフト券を使った領収書の件で、「心風会」の永岡禎議員が収支報告書を修正した。

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