※当記事の情報はすべて初回掲載時のものです。

スッキリしてる?【政調費】

私的利用と議員活動を区別 議会内に浸透

伊賀市議会 2011年度の政務調査費

交付額648万円 返還額113万5千円

 伊賀市議会(定数28人)で2011年度に支給された政務調査費の収支報告がまとまった。同市議会の場合、議員一人当たりの交付額は年24万円。全体の交付額は、申請しなかった1人を除く27人分で648万円。実際使われた支出額は534万4133円(執行率82・4%)で、使わずに市に返還した額は全体で113万5867円だった。

 政調費は議員報酬と別に、調査研究に必要な経費の一部に充てるために支給する費用。同市議会は会派にではなく、個人に支給している。

ネット利用料

 各議員が政調費として交付を受けるために提出した、領収書や研修・視察報告書などの添付資料595枚を基に取材した。資料作成費では、15人がインターネット利用料を計上し、うち10人が私的利用分を示して按分(あんぶん)し、利用料金全体の3分の1から5分の4を請求した。

 昨年の調査では、同市のケーブルテレビ会社と契約し、ネット利用していた議員のうち4人が、減免対象世帯以外は支払わなければならない月額500円の維持管理費も合わせて請求していた。YOU紙面で疑問を指摘したところ、今年は同様のケースはゼロになった。

所属政党の雑誌定期購読 分かれる他市での対応

 資料購入費では、70代の男性議員が所属政党から出ている月刊誌の購読料9120円(1年分)を請求していた。雑誌名は「議会と自治体」。同議員に取材したところ、過去から購読していたが、政調費に計上したのは昨年度が初めてという。

 これまでに出ている地裁や高裁での判決では、所属政党の新聞や機関誌を購読するのは「政党活動に基づくものと解される」「政党活動に当たるとは言えない」の適否双方が示されている。他市の申し合わせや手引きでも、現状では対応が分かれていた。

資質向上と調査研究 役立つと判断し請求

 同議員は「政調費における政党機関紙などについては伊賀市議会が厳格に対応している。私の請求した雑誌は議員としての資質の向上と調査研究に役立つと判断してのもの。今回の指摘についてもよく分かるので、今後の参考にする」と話した。

デジカメなどの事務機器 按分での請求が主流に

 資料作成費では、別の議員3人が2万円前後のデジタルカメラを購入し、それぞれ3分の1から5分の4で按分し請求した。他にも電子辞書(1万8千円)やICレコーダー(4700円)、故障したパソコンの代用に中古機(2万8千円)を購入した議員などもいた。

 昨年度の収支報告書を調べた今年の調査では、伊賀市議会の場合、政調費を研修や視察の費用に充てる議員が前年度の調査時よりも更に多い印象を受けた。「第二の議員報酬」と指摘されることもある政調費。使い道や使途基準の明確化、同制度の透明性など市民の常識とずれていないか、伊賀・名張両市議会を取材し、次号との2回に分け、掲載する。

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