ニュージーランド編2
本紙ライター・坪田多佳子
海外でも展開するピンクリボン運動。他国の人たちと話すと、日本とは違った事情も垣間見え、考え方のヒントになることにも出会う。前回に続き、ニュージーランドに住む友人、シャロン・ヒルズさんとの会話を紹介する。
S=シャロンさん、T=私(坪田)
T ニュージーランドのピンクリボン運動ってどう?
S とても盛んよ。でも、人口が少ない地域に住んでいるとか、人種的にマイノリティーだとかの理由で啓発が行き届かないこともある。乳がんになる人は多いから改善しなくちゃ。私の友人も乳がんになったの。
T 友だちのサポートをしてるんだよね。どんな風に?
S 手術後、皆で交代で食事を届けたり、家事を手伝ったりしてる。病院へ車で送ったりも。
T 出来ることは何でも、だね。
S 彼女が化学療法に備えて髪をそるというから、昨夜はそのためのパーティーだったんだ。彼女の16歳の娘は、髪をそって寄付を募るという団体に登録してね、お母さんのサポートを宣言して一緒に髪をそったの。出席者の中の4人も。
T 皆で乗り越えようってことかな。
S そう。辛い状況でも楽しみを見つけるのがニュージーランド流。ポジティブでいられるでしょ? パーティーで寄付も集めたよ。
T 1人で悩むのとは全然違うね。
S 彼女、支援金でブラとかつらを買う予定だし、他に色々なサポートを受けてるの。
◇◇◇
先日、啓発に携わる人を取材した際、このパーティーとは対極の話を聞いた。「いまだにがんは隠すもの、他人事、なんていう人がいるんですよ……」シャロンが指摘する啓発不足は、日本でも確実にありそうだ。
シャロン・ヒルズさん 53歳。友人をサポートしていることから、乳がんやピンクリボン運動への関心が高い。
「伊賀タウン情報YOU 2016年6月後半(678)号」より