ニュージーランド編1
本紙ライター・坪田多佳子
海外でも展開するピンクリボン運動。他国の人たちと話すと、日本とは違った事情も垣間見え、考え方のヒントになることにも出会う。今回は、ニュージーランドに住む友人、シャロン・ヒルズさん(53)との会話を紹介する。
S=シャロンさん、T=私(坪田)
T ニュージーランドは検診受診率が高い国よね。どんなふうに行われているの?
S 45歳から69歳までの女性は2年に1度、無料でマンモグラフィ検診が受けられる。検診バスもあるから、病院が近くにない人も受けやすいの。
T シャロンは必ず受けている?
S もちろん!
検診の予約も友だち同士で確認し合ってる。予約を忘れた友だちがいたら、「次の機会を逃しちゃだめ!」って念を押すわよ。
T 忘れずに行けそうね。かかりつけ医からも検診のアドバイスをしてもらえるんだってね。そのかかりつけ医の制度ってどう?
S かかりつけ医のことを「GP」っていうんだけど、何かあればまずはそこへ行くからGPは個人の病歴とか全部把握しているの。引っ越してもデータは新しいGPへ送られる。うちの場合、GPとは家族ぐるみの付き合いよ。乳がんが心配になったときもGPが専門医を紹介してくれる。
T 何でも相談できそうで心強いね。
S 30歳の時、GPの看護師さんから自己検診の方法を教わったよ。何度か引っ越してGPも変わったけど、毎回「自己検診してる?」と聞かれる。子宮がん検診でもそう。「こうするのよ」って私の胸で実践してくれたこともあるわ。
◇◇◇
自己検診の徹底には驚いた。以前取材した乳腺外科の先生が、自己検診の習慣づけを強調されたのを思い出す。そしてGPといえば、日本でもかかりつけ医制度推進の動きがある。賛否分かれるところだが、制度導入国の話には耳を傾けたいと思った。
シャロン・ヒルズさん ニュージーランド在住。現在、乳がんになった友人のサポートをしている。
「伊賀タウン情報YOU 2016年5月前半(675)号」より