欧州・ハンガリー〈前編〉
本紙ライター・坪田多佳子
ピンクリボンの連載開始から7年。当初よりピンクリボンの言葉は広まったが、乳がんになる人や亡くなる人の数は減らないし、検診受診率も低いまま。私は検診対象年齢なので、よく友人たちとこのことを話題にするが、特に他国の友人との話では日本とは違った事情も垣間見え、なるほど、と思えることもある。そんな中から興味深い話を拾い、紹介していきたい。
アイーダ・シルブさん=写真円内=との会話から。A=アイーダさん、T=私(坪田多佳子)。
T 日本の乳がん検診受診率はとても低いの。だから厚労省は「欧米は高いのに日本ときたらOECD加盟国中最低レベル!意識低すぎでしょ」的なこと(意訳です)を言うんだわ。ハンガリーはEU加盟国だし、受診率高いんだろうね。
A まさか。低いわよ。
T 低い?じゃあこの「欧米」ってどこよ。米は分かるけど。厚労省の出典を見てみよう。
A OECD加盟33か国の2011年受診率か。日本は約36%?意外ね。欧は23か国ある。
T でも70%越えは10か国よ。うちフィンランド、オランダ、オーストリアが80%超え。
A 社会福祉システムと関係ありそう。ハンガリーを見て。
T 約47%!スイスも40%台だわ。欧の国、全部がものすごく高いわけでもないんだ。
A ヨーロッパといっても国によって随分違うのよ。検診の対象年齢も違うと思う。
T 厚労省もそうだけど、日本では「欧米では」をよく使うのよね。私も以前記事に「欧米では80%近い数字が」って書いた……。
A 具体的な国の名前を出したほうが良さそうね。統計の取り方も国によって異なるはずだから、このデータも参考程度でいいんじゃない?
ヨーロッパにいる身としては、「欧米」なんて、アメリカともひとまとめにされるのは変な感じ。
◇◇◇
言われてみれば、統計の話をしながら、「欧米では」とアバウトなのも妙だ。海外比較をするのなら、今後は国名を挙げながら書こうと思う。
さて、日本と同じく受診率の低いハンガリー。もう少し話を聞いてみよう。続きは次回。
アイーダ・シルブさん(54) 元医師、通訳・翻訳者、英語講師。ハンガリー在住。趣味の合気道の稽古のため、昨年9月に来日し、松阪に滞在。
「伊賀タウン情報YOU 2016年1月後半(668)号」より