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関心高まる「緩和ケア」

三重大病院医師と看護師に聞く


▲資料を見ながら話し合う松原医師
(右)と松永看護師=津市江戸橋で

 がんと向き合いながら生活する人が増え、がん患者のQOL(生活の質)向上が急務となるなか、「緩和ケア」への関心が高まっている。緩和ケアとは何か、どのような取り組みをしているのか、三重大学医学部附属病院緩和ケアセンターの松原貴子医師(52)と、福永稚子看護師(45)に話を聞いた。

 

 ――「緩和ケア」は病気に伴う痛みを和らげることだといわれていますが、いつ受けるものなのでしょうか?

 松原 緩和ケアは、がんと診断された時から受けられます。終末期だけに受けるもの、というイメージがあるかもしれませんが、それは誤解です。また、時期や症状で受ける受けないを決めるというのではなく、痛みを和らげてほしいと思った時、いつでも受けられるものなのです。

 ――痛みもさまざまあると思いますが。

 松原 身体の痛みだけでなく、心理的な苦痛、仕事や経済的な問題などの社会的苦痛などもあります。「こんなことは相談しても仕方がない」と思わず、どのような痛みも、まずは主治医や身近な看護師に伝えてください。これは患者本人に限りません。ご家族も自分自身のケアを大事にしてほしいです。辛いことがあれば相談してください。

専門的な支援

 ――がん診療連携拠点病院には緩和ケアチームがあるそうですが、医師や看護師の他にどのような人が緩和ケアに関わっているのですか?

 福永 社会生活を含めたサポートをするため、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士、薬剤師なども関わっていますので、痛みに応じて専門的な支援を受けられます。また、がん診療連携拠点病院以外の医療機関でも緩和ケアチームが活動している場合もありますし、他の医療機関と連携して対応できることもあります。

 ――実際に緩和ケアに携わってどのようなことを感じますか?

 福永 がん患者さんの聴き手となることで、患者さん自らの力で病気と向きあう力がわいてくると感じます。患者さんの半歩後ろで見守りながら伴走するというイメージです。がんを治すことと同じように、生活の質をより良いものにすることを大切にしていきたいです。

 ――緩和ケアの今後の課題をお聞かせください。

 松原 緩和ケアはいつでも受けられるもの、という考え方を一般的なものにするとともに、医療従事者側の意識も高める必要があります。患者の苦しみに気づき、医療従事者同士の連携を図ることが重要だと考えます。

伊賀タウン情報YOU 2015年4月後半(650)号」より

   
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