乳がん検診の大切さ訴える ピンクリボンサポート女性の25人に1人が乳がんに…。乳がんの早期発見、早期治療を呼びかける企画です。

ピンクリボンサポートトップ  >乳がんの早期発見

乳がんの早期発見

日頃の取り組みは?

特別インタビュー
 三重大学医学部附属病院 病院長顧問
 田島和雄 医師

 10月は、乳がん月間。乳がんの早期発見、早期治療を呼び掛けるピンクリボン運動への認知度も高まり、がん全般についての情報も増えてきた。情報をどう捉え、どのように行動すればよいのか? UICC(国際対がん連合)理事で、三重大学医学部附属病院病院長顧問の田島和雄医師に聞いた。

 

――マンモグラフィ検診を受ける年齢について、さまざまな意見があるようですが。

 日本では、40代、50代の乳がんが増えています。マンモグラフィ検診は40歳を過ぎたら2年に一度、受けてください。20代、30代は乳腺が発達しているためにマンモグラフィではがんを見つけにくいので勧めません。受ける場合は超音波検査が適しています。

――早期発見、早期治療が大事なのはなぜですか。

 早いほど完治の可能性が高まるからです。また、治療期間や治療費も抑えられます。治療期間や治療費については次の表を見てください=図表。乳管内にとどまっているがんを「非浸潤がん」、乳管を破り周辺細胞まで広がったがんを「浸潤がん」と呼び、進行度合いで段階を分けますが、早期である非浸潤がんと、リンパ節への転移を含む浸潤がんを比較してみましょう。治療期間は、外来治療が必要ない前者に対し、後者は12日プラス5年と長く、総治療費も6倍。早期発見早期治療を可能にする検診をぜひ受けてください。

――自分の乳房を手で触りチェックする自己検診の注意点は。また、いつから行えばよいですか。

 乳房が張る生理の前は適しません。生理の後、鏡の前で変化はないか、定期的に確認することが重要です。若いうちから行ってください。まれにマンモグラフィでは見つからない乳がんもあります。特にしこりが大きくなるような場合、速やかに医療機関を受診しましょう。

――その他のがん検診についてはどうですか。

 どの検診にも言えることですが、検診を受けた後、精密検査が必要だとされても受けない人が少なからずいることが気になります。例えば、大腸がん検診では、便に血液が混ざっていると精密検査となりますが、ここで30人に1人、がんが見つかります。内視鏡などの技術も進み、以前より検査が楽になりましたのでためらわずに受けてほしいです。

――がん検診を受けない理由で「受ける時間がない」に次いで「がんであると分かるのが怖いから」(厚労省・がん検診を受けない理由 2010年国民生活基本調査)というのが上がっていますが。

 がんに対する偏見が根強いためでしょう。今では国民の2人に1人は何らかのがんにかかると言われており、当たり前の病気となっています。早期に見つければ完治の可能性は高まります。がんに対する考え方を変えていくべきです。

――当たり前となった「がん」に対し、日頃出来ることは何でしょう。

 がん予防として、検診などを2次予防と呼びますが、これだけでなく、がんが出来ても大きくならないようにする1次予防を行うことです。1次予防とは、生活習慣の見直しです。食生活の改善、適度な運動、禁煙。1次予防でがんの50%以上予防できます。それは、健康寿命を延ばすことにもつながるのです。

伊賀タウン情報YOU 2014年10月前半(637)号」より

   
YOUよっかいち