三重大医学部付属病院 中谷中医師に聞く
米国の女優アンジェリーナ・ジョリーさんが、遺伝子検査の結果から遺伝性乳がんになる確率が高いとして、予防のため両乳房を切除した。このニュースを受け、遺伝子検査に注目が集まっている。今回は、三重大学医学部附属病院オーダーメイド医療部の中谷中医師( 58 )に、遺伝子検査について話を聞いた。
Q 遺伝性の乳がんとは何ですか?
「がんは、食生活や飲酒、喫煙、生活環境などの環境要因と、遺伝要因のかけ算の結果発症すると考えられています。乳がんや卵巣がんのうち、遺伝の影響のみを受けて発症したと考えられる5から10%程度のがんのことを言います」
Q 遺伝性の乳がんにはどのような特徴がありますか?
「若い年齢で乳がんを発症する、両側の乳房で乳がんと診断される、2世代以上にわたって乳がん、卵巣がんの発症者がいる、乳がんと卵巣がんの両方を発症する、男性の血縁者に乳がん発症者がいる、などです」
Q 遺伝子検査を希望すれば受けられますか?
「三重大学病院では遺伝子検査を行っていますが、まずはカウンセリングを受けて頂きます。カウンセリングの結果、必要と判断された場合に検査へ進みます」
Q 検査で陽性となった場合、精神的な負担も考えられるのではないでしょうか。
「未発症の方の場合、今後の検診の受け方、例えば検診の間隔を短くして早期発見を目指すなどを考えていくことにもつながります。また、この情報は、近親者の健康管理に関連します。そうした不安についても十分カウンセリングを行っています。三重大学病院では、これまで患者さんへの検査が主でしたが、検査は治療法の決定などに役立ちます」
Q 他の遺伝性疾患についてもカウンセリングを受けられますか?
「遺伝全般に関する悩みついての解決方法をお伝えします。初回は約1時間かけて相談に応じています。心配ごとがある場合は、ご連絡ください」
問い合わせは、同病院オーダーメイド医療部遺伝カウンセリング外来TEL059・231・5476まで。
また、遺伝カウンセリング外来は毎週火曜日午後。完全予約制。料金は初回5870円、2 回目以降3770円。遺伝子検査は別途実費負担で、乳がんの場合14万から24万円程度。
「伊賀タウン情報YOU 2013年6月後半(606)号」より