伊賀市が官民連携のPFI方式を採用し、中心市街地に残る旧市役所庁舎の複合施設化や成瀬平馬家屋敷跡敷地に建設予定の忍者体験型施設の建設を盛り込んだ「にぎわい忍者回廊整備事業」について、地元の上野商工会議所は8月5日、岡本栄市長と近森正利議長に早期進展を求める要望書を提出した。

 同事業は2041年度までの20年間で施設の改修や建設、運営に対する計約64・2億円を上限とした債務負担行為を設定している。市中心市街地推進課によると、そのうち旧庁舎の改修経費には約25・4億円を充てる計画だ。

 公募型プロポーザルに唯一応募し優先交渉権者となった企業グループの案では、旧庁舎の半地下部分を含む1階に新図書館、2階に観光まちづくり拠点やカフェ、地元産品の展示販売、3階に宿泊機能などのサービスを提供。忍者体験型施設にも家族向けの宿泊スペースを設けるとしている。

 市は9月定例会に事業契約を結ぶための議案を提出する予定。8月16日の議員全員協議会では優先交渉権者を決定してから3度目の事業説明をし、議会の理解を得たい考え。

 同計画に含まれている旧市役所庁舎は郊外に移転してから3年半にわたって“空き家状態”が続く。要望書で田山雅敏会頭が契約締結議案の議決への憂慮を示し、「お互いにこれ以上の停滞は何の得にもならないし、街の発展を阻害することになる。(行政と議会の考えに)大同小異あると思うが、前へ進めてほしい」と訴えた。

 岡本市長は「大変心強いエールを送ってくださった。議会の理解を頂かないといけないが、これが最後のチャンスと思っている。逃せば後はない」、近森議長は「PFI事業は議会からの付帯決議。行政が資金繰りやチェック機能などの問題も大丈夫だと丁寧に説明し、議員の理解を得るようにすべき。思いは同じ」と話した。

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