【岡本市長(右)と意見を交わす一見知事=伊賀市上野丸之内で】

 昨年9月に就任した三重県の一見勝之知事が県内市町を訪問し、首長らと対談する「知事と市町長の円卓対話」が5月11日、伊賀市内で開かれた。一見知事は「新型コロナの影響で県内経済は厳しいが、収束していけば、これからの最右翼にあるのは観光。その源にある文化をしっかり顕彰しながら進めていきたい」と述べた。

 地域が抱える諸課題を、知事が地域に出向いて直接主張や市民から聞き、これからの県政に役立てるもので、一見知事就任後の開催は名張市、木曽岬町(いずれも今年4月)に次いで3か所目。今回は、江戸時代の藩校として知られる伊賀市上野丸之内の「史跡旧崇広堂」を会場に、一見知事と岡本栄市長は午後2時20分ごろから約1時間、アフターコロナの観光振興を始めとした県内経済の回復策を中心に対話を進めた。

 岡本市長が「コロナ禍で価値観が変わり、ゆったりとしたところで暮らしたいという人が増えた。伊賀くみひもや伊賀焼など、他に無い文化・歴史が伊賀にはある。県と一緒ににぎわいづくりをしていきたい」と呼び掛けると、一見知事は「伊賀牛や伊賀米、伊賀酒などが生活のすぐ近くにあり、『ここにしかないもの』があるのが伊賀のすごいところ。コロナ後は伊賀や三重の良いものを外へ発信していけたら」と応えた。

 公共交通の話題では、岡本市長はリニア中央新幹線について「県内にできる駅へのアクセスの整備が重要。車両基地や整備工場などを造る場所に手を挙げたいと思っている」、JR西日本が赤字のため単独での維持が難しいと説明している関西線の一部区間(亀山‐加茂)については「利便性向上を実現しないと根本解決にはならない。広域的に考えなければ」と話すと、一見知事は「赤字路線を『鉄路は文化だから残してくれ』では残っていかない。乗るためには利便性が重要なので、地元からの要望を出していかないといけない。互いに知恵を絞りながら残していく方法を取っていきたい」と述べた。

一見知事に思いを伝える「伊賀市若者会議」のメンバーら=同

 市長との対話終了後には、若い世代の声を市政や市のPRなどに役立てる「伊賀市若者会議」のメンバーや、商工団体の青年部役員らと一見知事が意見を交わす時間も設けられた。対話の中では、若い世代が活用している多様なツールを活用したコミュニケーションの活性化、子どもたちだけでなく現役世代がさまざまなことに興味を持てるような社会づくりなど、それぞれの立場で思いを伝えていた。

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