【出来上がった座椅子を前に話す池山さん(右)と松島さん=伊賀市荒木で】

津での作品展に出品

 机を並べた同級生2人が生み出した、木と組みひもが織りなす不思議な座り心地―。林業・木工業を営む三重県津市美杉町太郎生の池山広喜さん(29)と、家業の組みひも店を継ぐ伊賀市緑ケ丘西町の松島康貴さん(29)が作った座椅子が、12月10日から津市内のギャラリーで開かれる作品展に出品される。

 山仕事に携わる祖父や父の姿を見て育った池山さんは、大学卒業後、林業を主としながら木工作家としても腕を磨いている。松島さんは専門学校を卒業後、曾祖父の代から続く組みひも店で職人として挑戦を続けている。県立名張西高(現・名張青峰高)の英語科で学び、同じ部活動でも汗を流した。

 卒業してから10年余り、それぞれに技術を高めて経験を重ねていたことを互いに知り、池山さんが共同制作を提案。池山さんの作業場にあった樹齢数十年のヒノキの一種「ネズコ(クロベ)」の丸太を縦に切って左右に配置し、杉の板と合わせた状態で松島さんにバトンタッチ。いびつな座面に合わせたクッションの表面を、丸が連なる縁起の良い七宝模様の組みひもで彩った。

 サイズは縦60センチ、横1・2メートル、高さ40センチほどで、津市栄町の「アート・クラフト表現空間ボルボックス」で19日まで開かれる家具作家ら14人の「手仕事の工房展『椅子と』」に並ぶ。松島さんは「木の形や質感を生かした形に仕上がった」、池山さんは「面白いものができた。こういう椅子もあると捉えてもらえたら」と、それぞれに感想を口にした。

2021年12月11日付809号2面から

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