【10月にあった勤務する中学校の演奏会で指揮する山本さん(提供写真)】

地元で楽団設立にも参加

 三重県伊賀市出身で指揮者として活躍する山本健太さん(27)は、音楽教諭として鈴鹿市内の中学校で教壇に立ち、吹奏楽部を指導する傍ら、さまざまな音楽プロジェクトにも参加している。

山本さん

 教室を主宰している母親の影響で3歳からピアノを習い、オーケストラのクラシックCDを聞くのが好きだった。小中学校ではサッカー部で活動する一方、卒業式などでピアノを伴奏した。

 上野高校では吹奏楽部に所属。当時顧問だった福岡友也教諭に指導を仰ぎ、3年間、タクトを振った。三重大学教育学部音楽教育コースを卒業し、教員となった1年後の2017年、ブルガリア国立ソフィア・フィルハーモニー管弦楽団と共演。「才能ある指揮者」と現地で評価を得るなど、良い経験になったという。19年には「熊本城再建復興プロジェクト」に音楽家として加わり、更に地元伊賀の楽団「IGAオーケストラアンサンブルBUNTO」設立にも携わった。

 「プロ、アマ、学生、それぞれで振り方のポイントが違う」と話す山本さんは「真っすぐな指揮が特徴」と自己分析する。テンポ、音のバランスなどを自分なりに解釈し、演奏メンバーの特性を見極め、双方が納得できるステージを作り上げる。演奏会が成功した時の達成感は何物にも代え難いといい、さまざまな人と関わり、コミュニケーションを図ることができるのは指揮者ならではだそう。

 昨秋、コロナ禍で久しぶりに指揮を執った「IGAオーケストラアンサンブルBUNTO」と公募合唱団とのリハーサルでは、「やっとここまでこられた」と感極まって涙したという。

 山本さんは11月28日に伊賀市で開かれる同楽団の演奏会「室内楽の調べ」でも指揮を執る。

2021年11月20日付808号10面から

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