【ずらりと並ぶミニチュア商品を前に思いを語る山畠社長=伊賀市治田で】

シリーズ月間販売50万個突破

 三重県伊賀市治田のプラスチック製品メーカー「山田化学」が、全国の100円ショップ向けに昨年から生産しているミニチュアシリーズが人気だ。酒瓶ケースや貨物コンテナなど、どれも本物そっくりで、ユーザーが思い思いに使う様子がSNSで拡散。コロナ禍の巣ごもり需要も追い風に、月間販売個数は50万個を突破した。

 同社は1988年に大阪府で創業し、99年に伊賀市へ本社移転。現在の社員数は85人で、大阪に商品企画拠点、伊賀市に製造拠点を設けている。セリアやダイソー、キャンドゥといった100円ショップの店頭に並ぶランチボックスや保存容器、ドリンクボトルなど家庭日用品を扱い、品種は約800種と多岐にわたる。

 昨年1月、新商品の企画に当たって山畠俊也社長(54)が「ノウハウを生かせる」と着目したのが、ミニチュア市場だった。まずは酒屋で見慣れた一升瓶ケースなど、同社のプラスチック加工技術をすぐさま活用できる商品から着手。約8分の1のサイズにして、本物同様に積み重ねができるようにした。発売すると大反響となり、購入した人がフィギュアを座らせたり、電池を収めたり、机周りに並べて楽しんだりする様子がSNSにあふれた。

 プラスチック製品以外にも、中国の提携工場で生産できるブリキを使った商品も企画。貨物船や列車に積まれる貨物コンテナ風の小物入れは、印字や突起など細部の特徴まで表現。特に日本貨物鉄道(本社・東京都)の承認を得てセリアと共同企画した「JR貨物」デザインの商品は、忠実な再現が鉄道ファンの心をも打って大ヒットし、一時は店頭から姿を消すほどだった。現在は、旧国鉄や他の運送会社のコンテナを再現した新商品を企画中だという。

100円で最大限のクオリティー

 山田化学によると、ミニチュアシリーズの好調などで同社の2020年度の業績は過去最高を記録。売上高は約86億円で前年比117%(約13億円増)となった。シリーズラインナップは椅子やロッカー、台車のミニチュアなどを含め現在20種ほどだが、今年中に50種まで拡大する予定だという。

 山畠社長は「リアルさにこだわり、100円で最大限のクオリティーを出すことを大切にしている。自宅で過ごす時間がちょっとでも楽しくなるようなアイテムを、更に増やしていきたい。『こんなミニチュアが欲しい』といった意見も遠慮なく寄せて頂けたら」と話した。

2021年6月12日付797号1面から

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