【「抵抗」の意味を示すポーズをとるミャンマーの女性たちと吉岡さん(右)、山下会長=名張市丸之内で】

 日本語と日本文化を教えるボランティアを始めて5年になる「名張ゆうあい日本語の会」(山下俊和会長)の副会長、吉岡誠さん(70)(三重県名張市富貴ヶ丘4番町)。1年半前からミャンマーの女性5人を受け持っており、現在の国際情勢に胸が締め付けられる思いだと話す。

 吉岡さんによると、彼女たちは母国で日本語教育を受けた後、2019年5月までに来日。20代で、向学心が強く、真面目で律儀な明るい性格だそう。母国に帰ったら日本語学校を作りたいなど、将来の夢を語りながら楽しく勉強していたという。

 ところが今年2月1日、ミャンマーで国軍によるクーデターが発生。民主化が進む中で育った10代、20代の若者たちが平和的に抵抗を始めた。「抵抗」の意味を示す「3本指」を掲げてデモを始め、ネットやSNSを駆使して対抗。その姿に海外で暮らすミャンマーの人たちも母国のために声を上げ始めた。

 名張で暮らす彼女たちも例外でなく、家族の安否と将来の不安に押しつぶされそうになりながらも、自分たちにできることを考え、アウン・サン・スー・チー国家顧問が党首を務める国民民主連盟(NLD)を象徴する赤い物を身に着け、国内で開かれる集会などに参加。金銭的支援や動画配信などで、母国の市民にエールを送り始めた。

 そんな様子をつぶさに見守ってきたのが吉岡さんだ。現地の家族からは「あなただけでも安全な日本にいてよかった」と安心されているというが、彼女たちは家族や友人を思い、眠れない日が続いているそうだ。

 国軍の過剰な弾圧が国際社会でも問題になる中、吉岡さんは「SNSの普及で日本の反応も現地で抵抗する市民に伝わる。未来のミャンマーのために命を懸けて戦う彼らに、この伊賀地域からもエールを送りたい」と語る。

 「ミャンマーは古くから日本とのつながりも強く、美しい自然や寺院が多い。人々は古風で感謝や恩を忘れない昔の日本のようだ」という吉岡さん。「早く平和な国に戻れるよう、もっと情勢を知って、応援してほしい。外国からの応援は元気が出るそうだから」と熱く語った。

 彼女たちが作った動画はフェイスブック(https://www.facebook.com/nabariyuainihongo/)で視聴できる。

2021年4月24日付794号6面から

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