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スッキリしてる?政務活動費 2014年度名張市議会 後半

携帯電話代 市議17人が請求 7か月で計約60万円

 名張市議会(定数20)の2014年度政務活動費のうち、昨年9月から今年3月までの収支報告がまとまった。この7か月は市議選後の後期分で、交付額は560万円、支出額は499万1424円。執行率は89・1%で、残額の60万8576円は市に返還した。

宿泊費は実費精算に

 元は税金の政務活動費は議員報酬とは別に、調査研究などの活動に対する交付金。議員1人あたりの月額は、県庁所在地の津市と同額の4万円。

 人口は津が約28万3千人で、名張市は約8万人。制度がない熊野市を除く県内13市では四日市市の7万円、桑名、鈴鹿両市の5万円に次いで4番目に多く、隣の伊賀市は亀山市と同額の2万円で9番目となっている。

 名張市議会は会派支給で、5つある会派に所属する人数は収支報告の提出時と6月19日現在とは一致しない。

 同市議会が2015年1月から変更した一つは、宿泊を伴った政務活動費による視察での宿泊料が定額(1万5100円)から実費精算になった点で、使途別上位の「研修費」や「調査研究費」などに含まれている。

 変更のきっかけは職員が昨夏に出張と偽って不正に旅費を受給していた問題の発覚。市は再発防止策としてマニュアルを策定し、条例や規則も見直したことから、支出基準を準用する議会も改めた。

不適切な領収証

研修参加も日付の記載なし パソコン購入 収入印紙なし

 その研修費に関するコピー資料の中に、不適切な領収証が複数あった。

 日付が記載されていない領収証を提出した公明党は、4人全員が2月6日から8日にかけて大津市で開かれた研修に参加。領収証は受講料と宿泊料計20万6千円に対し、主催者が発行したものだった。同会派の会計責任者は「気付かなかった」と説明した。

 清風クラブの福田博行議員はパソコン本体とモニターを名張市内の業者から購入。代金は11万6424円だが、領収証には収入印紙がなかった。福田議員は「(印紙が)ないのに気付かなかった。正しく修正する」と説明した。

 パソコンの購入者は7人で、「資料作成費」で計上している。清風クラブは福田議員と豊岡千代子議員(代金11万1千円)、足立淑絵議員(同12万円)の3人。公明党は阪本忠幸議員(同11万3800円)、無会派の浦﨑陽介議員(同4万2千円)も買った。

 心風会の柳生大輔議員と永岡禎議員は同機種のパソコン(同9万6千円)を3月に「自宅・会派室用」に購入した。2人とも故障による買い替えで、永岡議員の場合、約3年で壊れたとしている。

議員引退後もパソコンを自宅に

 また、現職時に購入したパソコンの取り扱いで疑義が生じている。パソコンの場合、国税庁が示す減価償却期間の耐用年数は4年で、他の物品購入についても今後大きな課題になりそうだ。

 昨年8月の改選まで清風クラブに所属していた元男性議員(76)は13年9月に6万4800円のパソコンを購入。約1年は議員として使ったが、引退した今も個人管理したままだ。

 市議会事務局の見解は「故障などで廃棄処分されない限り、会派で引き続き管理されるべきと考える」。清風クラブの会派長は「改選前のことであるが、会派の備品台帳に掲載されており、会派で管理すべきと考える」と答えた。

 元男性議員は取材に対し、政務活動費で買ったパソコンは自宅に置いてあると答え、「引退後も個人管理していたが、今後は会派で管理して頂くことにした」と話した。

 「その他経費」に含まれている携帯電話代を請求したのは清風クラブ(6人)と公明党と心風会(4人)と春風会(2人)と無会派の浦﨑議員の計17人。上限は月5千円で、計59万5千円。名張市議会は領収書の添付を義務付けていない。

 県内他市で携帯電話代の支出を認めているは津、鳥羽の2市議会だけだった。いずれも上限額は判例や他市の例を参考に9分の1以内。領収書などの添付は義務化している。

 名張市で携帯電話代の支出をできるようにしたのは7年前。津市議会が13年度から、鳥羽市議会が14年度から支出できるようにしたが、5月に両市議会事務局を取材したところ、これまでに請求した議員は一人もいないという。

不透明さ目立つ「日常旅費」

 同じその他経費で、市内や近隣市町村への視察や会議出席にかかった交通費の一部「日常的な政務調査活動の旅費」(日常旅費)は心風会の4人全員が請求した。請求の上限額は携帯電話代と同じで、7か月分で1人3万5千円、4人で計14万円になる。
 政務活動費として旅費を支出する場合、どの市でも行き先の距離に関係なく議長決済や報告書の提出を義務付けているのが通常だ。県内の他市では第三者が視察や研修、会議出席などの日時、場所、目的が確認できない支出は認めていない。

 名張市では「日常旅費」に限り、目的地や経路、調査事項は会派で明細を保管しているが、公開の対象外。ガソリン代や公共交通機関の車賃を月ごとにまとめた「請求書」だけ収支報告書に添付している。市が職員の旅費支給について厳格化した分、事務手続きを簡素化した「日常旅費」の不透明さが目立っている。

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