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スッキリしてる?【政調費】

パソコン、デジカメ2年連続で購入 大量の名刺代も

名張市議会 2011年度の政務調査費

支出額882万円 返還額77万8千円

 議員報酬と別に、調査研究に必要な経費の一部に充てるため、市民の税金から支給している政務調査費。「スッキリしてる?政調費」は今回、名張市議会(定数20人)の2011年度収支報告を基に取材した。

資料作成費

 同市議会では政調費を個人にではなく、会派に支給。議員一人当たり年48万円を交付している。議会全体では960万円。11年度に実際使った支出額は882万1567円(執行率91・8%)。交付額から支出額を差し引いた返還額は77万8433円だった。

 資料作成費では、主に電子機器類や事務機の購入を調べた。パソコンが5万円前後から16万円超の4台を購入。他にはデジタルカメラ4台やプリンター、電子辞書、IC録音機などもあった。

 清風クラブに所属する70代議員は、一昨年にノートパソコン、昨年にデスクトップパソコンを購入。IC録音機と電子辞書もそろえた。

 2台目のパソコンを購入した理由を尋ねると、「以前から使っている自宅用のデスクトップパソコンが調子悪く、(他会派の)詳しい議員に見てもらったら故障だったので、買い替えた」と説明し、購入理由を記載しなかったのは「提出用紙に書く欄がないから」と答えた。

 心風会では、50代の議員が2年続けてデジタルカメラを購入。同会派は一昨年、所属する2人がそれぞれ購入している。指摘に対し、所属議員が2人から5人に増えたことを挙げ、「1台は会派室に置いておけば、使う人もいるだろうと考えた。5人で3台は問題ないと思う」。

宛名なしの領収書など 過去にも記入不備

 同市議会事務局では09年、収支報告書を提出する際に留意する点をまとめ、議員に配布した。その中では、パソコンやカメラなどの高額物品を複数台購入した場合、「○年○月に購入した△△が破損したため」「会派室備付用」などと付記し、押印を求めている。

「次回はわかりやすく」

 また、収支報告書の提出時に、領収書の宛名に漏れがないよう促しているが、心風会は宛名が空欄のままになっている領収書を複数枚提出していた。同会派の50代の議員は「次回からは会派名もしくは議員名を記入し、分かりやすくしていく」と話した。

会派で同一紙2部を購読 日本代表主将のベストセラーも

 図書や資料の購入に充てる資料購入費では、清風クラブが会派視察で訪れた佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長が書いた著書「首長パンチ」を6人分購入。また、日本教育新聞の購読料も2部分請求した。

 同議会では、政調費で同じ新聞を複数部購読するのを事実上認めているが、60代の議員は「個人購読分と重複してしまった。会派内で無駄はやめようと話している。次回は1部だけにしたい」と話した。

 他では心風会に所属する30代の議員がサッカー日本代表の主将、長谷部誠選手の著書「心を整える。」を、日本共産党は日経新聞を5か月分、公明党は「食育白書」を会派人数分(4冊)購入した。

 広報費として、名刺印刷代2万円分を請求したのは、心風会に所属する60代の議員2人。他にも請求した議員もいたが、2人の金額が突出していた。枚数に換算するとそれぞれ2000枚以上。うち一人は、1年4か月前にも2倍の4万円分を使って名刺を印刷した。

「会派内での党籍明確に」

 理由について「同じ会派内には無所属の人もいる。党籍をはっきりさせるため、所属政党名を入れた名刺を新たに作った」と説明。他の議会では、名刺代は交際費的な経費とみなされ、支出を認めないところも少なくない。同議員は「今後は見直したい」と話した。

2着目の防災服 政調費で 購入目的は「現地での着替え用に」

 その他経費では、心風会の50代の議員が作業服約1万4千円を政調費で購入した。使途は防災・消防訓練への出席、風水害で被害にあった地域に出向く際に着用するためだ。

 同市議会では昨年度、議会費で議員防災服を夏冬用各20着、計約22万5千円で購入し、支給。胸元には「名張市議会」の名が入っている。

 この議員は政調費で2着目を買い、「現地では当然、濡れたり汚れたりするので着替え用として使う」と説明。「本来なら、議会費で(2着目も)買ってほしい」とも話した。

 同市消防本部の場合、職員に対し服装規程や被服貸与事務処理規程を設けている。各職員は「限られた予算の範囲内無駄遣いのないよう、上手にやり繰りしている」。

会派視察報告書は代表者だけ 議長「議運委で検討してもらう」

 支給総額の約半分を占めているのが、研究研修費と調査旅費だった。そのうち、「日中友好促進三重県市議会議員連盟」の一員として訪れた蘇州、無錫、上海への海外視察研修(4泊5日)には同市議会から9人が参加。旅行代金は約16万円。議会が申し合わせ事項で費用の4分の3を認めていることから、全員が政調費を利用し、代金の一部を請求した。

 一方、同市議会では会派視察・研究研修報告書を提出する際、各会派の代表者が記録する慣例となっている。参加者全員が同報告書を提出していたのは日本共産党(2人)だけだった。福田博行議長は「全員が報告書を提出するかどうか、議会運営委員会で検討してもらうよう考えている」と話した。

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