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【スッキリしてる? 政調費】 伊賀名張の市議 政務調査費どう使った?

市民目線で調査 2010年度収支報告

 伊賀・名張両市議会議員が2010年度に使った政務調査費の収支報告がまとまった。市政をチェックする議会は、税金が元の政調費をどのように使っているのか、領収書を中心に市民目線で調べてみると、疑問に感じる点がいくつもあり、会派や議員個人によって取り扱いの慎重さに大きな差があることが浮き彫りとなった。

執行率は両市議会とも約85%

 政調費は、報酬と別に議員が調査研究に必要な経費の一部に充てるため支給している補助金。議員一人当たりの額は個人支給の伊賀市議が年24万円。会派支給の名張市議が年48万円。

 伊賀市議会は申請がなかった1人を除く27人分の交付額648万
円に対し、実際使われたのが542万4816円(執行率83・7%)。議員定数20人の名張市議会は会派支給としての交付額960万円に対し、支出額は813万3007円(同84・7%)だった。使わなかった分は市に返還される。

伊賀 ネット利用料 議員間の考えに差異

 伊賀市議会の場合、使途別で調査旅費が約240万円と最も多く、2期以上の市議を中心に視察への支出が目立った。次いで多かったのは研究研修費約132万円で、1期目の新人議員らが議会向けセミナーなどの参加費として計上した。

 事務費のうち、デジタルカメラやファクスといった機器の購入やリース、修理などでは、議員活動として使用する頻度を2割や5割、9割など議員自らが案分率を示し請求するケースが09年度より増えた。

ケーブルテレビ維持管理費の請求

「ふさわしくない」 「必要経費の一部」

 一方、インターネットの利用料に関連した請求では、議員間で考え方の違いが出た。請求した14人は全員、地元ケーブルテレビ局と契約しているが、うち4人は戸建て住宅に住む一般市民がケーブルテレビを通じて行政情報や防災情報の提供を受けるのに必要な「維持管理費」(月額500円)も含めて請求した。

 同管理費については、市が住民間の情報格差をなくすため、身体・知的・精神障害者や生活保護世帯などに対し、申請があればその費用を市が支払う軽減制度を設けている。制度は政調費と全く別だが、市議会事務局が同管理費の計上を認めているため、結果的に議員にも同管理費が公費で支出できることになっている。

 この件について、ネット利用料のみ請求した議員は「同管理費の請求は政調費にふさわしくないと思う。金額の大小に限らず、市民感情としても納得してもらえないのでは」と指摘。支出可能でも、請求しないと答えた。

 同管理費を請求した議員は、「必要経費の一部と思っている。情報収集の観点でネット利用料と包括請求した」と答えた。

 別の議員は「請求前に議会事務局に相談・確認したところ、できると聞いたので請求した」と説明した。

名張 市議選前後で使途に変化

 昨年8月29日に選挙があった名張市議会では、伊賀市議会と同様、調査旅費が使途別で一番多く、約283万円を占めた。次いでパソコンやデジタルカメラ、プリンターの購入など資料作成費約196万円が目立った。そのほとんどは改選後の購入だが、改選前の5か月間に限ると、個人や会派で発行する市政報告書などの広報費が2番目に多かった。電子機器などの主な購入品は昨年度、パソコン5台、プリンターなど印刷機7台、デジカメ6台=右表。


留意点が形骸化

 議会事務局は09年2月に収支報告書を提出する際の留意点をまとめて配布し、高額物品を複数購入した場合、購入者の押印や、「○月○日に購入した○○○が破損したため」などと理由を記すよう求めた。しかし、収支報告書を確認すると、記載のない例が複数存在し、留意事項は形骸化している実態が明らかになった。

 プリンターなど印刷機を2年続けて購入したある議員は、購入理由を記載していなかった。使途は「09年度に購入したのは中古の輪転機で、大量に印刷する場合はプリンターだとインク代がかかるので、用途で使い分けている」と答えた。

 また別の議員は、1年で2台のプリンターを買った。理由を尋ねると、「1台は故障したので新たに買った。もう1台は持ち運び用として使っている」と話した。この議員は、市議選が迫った昨年6月と7月に計約500枚のはがきを広報費で購入した。使途については「市政報告会の出席者に資料の一部として発送した」と回答。議会事務局は印刷見本の提出を求めておらず、この議員によれば未発送のはがきは自宅に残ってないという。

2件の修正報告

 更に、他の議員は4月から8月までの間、その他経費の一部にケーブルテレビの利用料など約2万2千円を計上していた。議員に確認すると、「チェックミスだった。指摘を受けるまで気付かなかった」と答え、修正報告した。別の議員も、09年度3月分のネット利用料を10年度分として請求。議員は「例年なら3月分の支払証明書が翌月にずれ込むが、昨年度は含まれていたのを確認漏れをした」と説明し、修正報告した。

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