※当記事の情報はすべて初回掲載時のものです。

スッキリしてる?【政調費】 伊賀市議会

神経とがらせる事務局

ブログで使途公開する新人も

 政務調査費の目的外支出をめぐる監査請求や返還訴訟が各地の地方議会で相次ぐなか、伊賀市議会事務局が政調費に対する意識の徹底に神経をとがらせている。この春当選した新人議員への説明でも、事務局職員は「市民の目線に立って判断を」と幾度も口にし、旅費や物品購入に関する質問にも「政調費は補助金。相談を受けた場合は厳しめに助言したいと考えています」と、思わず語気を強めるほどだ。

合併後に

 同市議会は県内14市のなかで唯一、議員個人に政調費を支給している。会派支給から変更したのは2年前で、市町村合併の後に現在の交付額24万円(月額2万円)になった。

 政調費の説明はさる4月24日に開かれた、1期目の議員9人を対象にした市政説明会の中で取り上げられた。1期目の新人議員の研修のために開かれているもので、過去のケースでは議員歳費全体の説明で、政調費に触れることはあったが、政調費だけにテーマを絞り時間を割いたのは今回が初めてだという。

 神経をとがらせる理由を尋ねた。同市議会事務局の説明によると、2007年2月に制定、施行した議会基本条例で政調費に触れていることにあるという。透明性をうたう以上、共通した認識を持って、きちんと機能するように「議会活動が本格化する前に、(新人議員に対し)最初に説明しておきたかった」と話した。

議会チェックを

 一方、市政説明会に出席した新人議員は、事務局の説明をどう受け止めているのか。なかには政調費の使途を自身のブログで公開予定の人も出てきている。

 同市議会で最年少の稲森稔尚市議(25=1期目)は、「市議のお財布」と題し、議員報酬の中身を紹介。「そもそも白黒がはっきり引けないのが政調費。その中で議員がしっかりと判断することが求められると思う」。

 また、使途をすべて公開する意図について、「政調費は皆さんの税金なので、公開を通じて市民の方に議会をチェックしてもらえたら」と語った。

 4月に就任した坂井悟議長(56=3期目)にも尋ねた。「(政調費は)議員活動には必要。当市議会では各議員、事務局とも精査しているので、情報公開請求があっても、説明に支障がないようにしている」と胸を張る。
 また、「議長の立場としては、(金額は)財政状況などを見て、議員間で話し合わないといけないが、たちまち増減というふうにもいかないだろう。できれば現状維持でいきたい」との考えを示した。

08年度収支報告書
 合併前の6市町村では、同制度の有無や金額差などまちまちで、市議会事務局によると、旧上野市では60万円(月額5万円)、旧伊賀町24万円(同2万円)、旧青山町6万円(同5千円)。旧阿山町と旧大山田村、旧島ヶ原村にはなかった。
 同市議会事務局では08年度の議員分収支報告書(交付額、支出額、返還額)の公開は5月末頃を予定している。

相談あれば、厳しめに助言します

 政調費について、新人議員と事務局の質疑応答は次の通り。
(一部要約、抜粋)

 議員 20万円のカメラを購入した場合、私用で8割、残り2割を議員活動で使うとする。2割だけを政調費として請求するができるのか。
 事務局 可能だ。案分で2割というなら2割分の請求をしていただいたらいい。ただし、領収書は1枚なので、このうちいくらを政調費として請求すると書いてほしい。

 議員 交付される限度額の中で、公私の割合を議員個人で申告していいのか。
 事務局 いい。使い方によっては、同じものでもアウトやセーフになる。使途基準が示されているが、不明瞭な部分もある。そこは各議員が調査研究に使うかどうか、いつも考えていただいて、市民の感情や市民の目線で判断してほしい。
 議員 視察に行った場合、その視察先に娘がいて会いに行くとする。半分だけ政調費で出して、半分を私費で払うことはできるのか。
 事務局 公私を混ぜるのは認められない。

 議員 観光となったら物見遊山だが、博物館を視察、史跡を視察といえば視察になると思うが。
 事務局 責任の所在が最後は議員個人にかかってくる。あくまでも政調費は補助金。調査研究に資するための経費。しっかり説明責任が果たせるもので請求してほしい。視察は、宿泊の必要性も含め何日間でこの行程なら行けるかという規定もある。泊まりについては、翌日必ず一か所は視察場所がなければならないし、懇親会をするだけのために泊まって、次の日は帰ってくるだけでは認められない。
 

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