※当記事の情報はすべて初回掲載時のものです。

すっきりしてる? 政調費 名張市議会

 名張市議会の政務調査費(政調費)で、各会派の収支報告書に添付された領収書やレシートの写しのなかに、使途の不明なものや、公私の区別がつけにくいものが複数含まれていることが、市内の男性とYOU編集部による情報公開請求で明らかになった。政調費については、全国各地で「第二の議員報酬」との指摘も出ており、市民から同制度の透明性や使途基準の明確性、チェック機能の強化を求める声が巻き起こりそうだ。

過去4年分、800枚

 政調費は議員報酬とは別に、調査研究に必要な経費の一部として公費から支出。同市議会では、政調費の領収書など写しの添付は1円以上と取り決めている。

 今回の取材では、市内男性の投稿を基に、使途基準7項目から、資料作成費及び資料購入費として支出された約800枚の領収書などをYOUで確認した。期間は2004年度から07年度の4年分。市の条例で定めた「使用できない経費」に該当する疑いがあるものや、使途が不明なものについて、YOU編集部スタッフが議会事務局と該当する会派、議員一人ひとりに説明を求めた。

名張市議会の政務調査費
「会派でまちまち」手続きの見直し 話し合う考え示す議長


あなたはどう思います?

約2万8千円分の領収書、但し書きは「品代」

 大型スーパーや家電量販店、ホームセンターの領収書に、但し書きを「お品代」として政調費に計上しているケースが3件あった。いずれも購入品名が書いてあるレシートは添付していない。

 A市議は、04年度に市内の大型スーパーで2万7860円分の商品を購入。B市議も同年度に家電量販店で1375円分、C市議は07年度にホームセンターで2158円分買い物をし、3人は証拠書類として、「お品代」だけ記載された領収書をそれぞれ添付した。

 A市議に購入品と使途目的を尋ねた。A市議は「レシートはもう残っていないと思う。何を買ったかは覚えていない。当時、購入品まで書く必要がないと考えていた。今は厳密にするようにしている」と答えた。

選挙用ソフトウェア


 06年度に、選挙用の当選支援システムのバージョンアップ費用(3万5千円)資料購入費として申請したのは、D市議。D市議によると、「元々は市議選の出馬時に勧められて買ったものだ。バージョンアップ費用を計上したのは、いろんな検索方法にも活用でき、議会活動で使えると考えたから」

 また、D市議は07年度に携帯型ナビも購入している。使途目的については「緯度や標高が計測できるので購入した。視察地の農作物が、名張でも適しているかなど研究するのに使っている」と説明した。

カーナビソフト

 E市議は、07年度にカーナビソフトを購入した。カーナビを巡っては、他市で目的外支出と判断された例がいくつもあり、購入理由を尋ねた。

 E議員は「車は議員にとっての足で、活動の上で必要。(カーナビは)市外の視察地などいろいろなところへ行くのに便利だ。(必要かどうかは)解釈の仕方によると思う」。議会事務局にも聞いた。「地図を購入するのと同じだと考えている」

デジカメ3台分

 F市議は04年度(11万7022円)、06年度(7万8269円)、07年度(5万2500円)に、それぞれデジタルカメラを含む複数の商品を購入したことを示す領収書の写しを添付した。使途目的を尋ねると、「今は1台しか所有していない。04年に買った1台は視察先で落として壊れた。もう一台はデジカメとあるが、そうではなくデジカメ用のプリンターだと思う」と答えた。

 F市議は07年度の議長を務めた人物だが、同年度に会派の会計責任者も兼ねていたことが今回の取材で分かり、チェック体制の形骸化が浮き彫りとなった。この点について、E議員は当時を振り返り、「気が付かなかった。これは明らかなミス」と話した。

「市民の知らないところで無駄遣い」

 情報公開請求を行った市内の60代男性は、「厳しい財政状況のなか、市民の知らないところで政調費の一部が無駄遣いされている」と指摘。20人いる議員のなかには、政調費への計上が適切な人もいたが、永岡禎現市議会議長は「議員には説明責任がある。しかし会派によって受け止め方はまちまちだ」とコメントした。

 今後は、「第三者が見ても使途目的が分かるよう透明性を高めるのは当たり前。購入品目の記入を徹底することは可能だと思う」と述べ、2月中旬ごろに開く予定の議会運営委員会で、政調費に関する具体的な事務手続きの見直しなど話し合う考えを示した。

市議20人 年960万円

 同市では各会派(1人会派も含む)に対し、市議1人あたり年間48万円、9会派20人分で総額960万円を交付。2007年度の支出総額は890万1137円、残余分の返還額は69万8863円だった。

 08年度現在、県内14市の政調費交付額で名張市の月額4万円は、四日市市(一人当たり7万円)、桑名市(5万円)、鈴鹿市(同)、津市(同)に続き5番目。個人支給の伊賀市は2万円で8番目。

※当記事の情報はすべて初回掲載時のものです。

元の記事
一覧に戻る