てくてく歩記は三重県伊賀市、名張市の散歩道を紹介しています。観光にもお役立てください。いつもの道もふらっと歩けば違う景色になるかもしれません。

てくてく歩記 低山と農村

歩いて感じる歴史
伊賀市・鞆田地区

 身近なウオーキングコースを実際に歩いて紹介する「てくてく歩記」。今回は、伊賀市北部・鞆田地区の約8キロを歩きました。(取材・山岡博輝)
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遠くに油日岳を望む、
雨乞山中腹の見晴台


 出発地点は、同市下友田の集会所です。スタートは12月15日午前10時前で、気温は5度前後。今にも雪か雨が降り出しそうな、怪しい空模様です。まずは、近くにある雨乞山(標高約269メートル)を目指しました。
 集落の中を縫う細い道を、立て看板に導かれて進むと、民家の裏からいきなり登山道に。イノシシや鹿などから農作物を守るために厳重な柵が施され、扉を開けて登山道に入ります。一歩踏み入れると、地面の至る所にはイノシシが掘り返した跡がありました。
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木々に囲まれた雨乞山山頂

 落ち葉がびっしりと敷き詰められた登山道はとても滑りやすく、足を取られる場面も。所々に設けられた手すりや木の枝などに助けられながら、油日岳を望む見晴台を過ぎ、出発から20分ほどで山頂に着きました。
 小さなほこらと案内看板、2つのベンチが備えられた山頂からは、北方の滋賀県側が一望できます。看板の説明によると、天正伊賀の乱(1581年)による織田勢の侵攻に際し、地元の豪族たちがここに身を隠したとも伝わっているそうです。
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ふもとの浄光寺付近から見た雨乞山

 帰りは西側斜面の急坂を下ります。しかし、来た道と同じく落ち葉に覆われているため、上りよりも足元に気を配る必要がありました。うっかり手を伸ばした一本の木は立ち枯れていて、危うく支えを失うところでした。やっとのことで、周囲を笹などに囲まれた雨乞池のほとりに下り、約45分後に元来た集会所の前へ戻ってきました。
 さて、ここからいつものウオーキングが始まります。まずは県道上友田円徳院線を北東方向へ。鞆田橋を渡ると道が狭くなり、自動車同士もすれ違いにくいため、歩く際は周囲の交通には注意が必要かもしれません。鞆田小学校前のY字路を右手へ、野田川沿いに進みます。軒先につるされたダイコンが冬の訪れを感じさせました。
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巨大な鈴の緒(左)が目を引く手力神社は心願成就・
身体剛健の手力男命を祭る。
10月17日の例大祭では奉納花火の打ち上げもある

 上友田の郵便局の前を過ぎ、今度は県道伊賀信楽線を北へ。ゆるやかな坂を上り始めると、横風に加え、小粒ながら雪も舞い始めました。峠を越えると東湯舟に入り、10月の奉納花火で知られる手力神社の前へ。昔から幾重にも重ねられ、円錐状になった巨大な鈴の緒は、一度見ると間違いなく記憶に残ることでしょう。

道端の「経塚」で歴史を知る

 引き続き県道を西湯舟方面へ。道沿いのやぶや軒先には、紅や白のツバキ、赤いナンテンの実などが所々に見え、冬田のひこばえ(刈り取った後に出てくる葉や茎)が、まるで見事な白髪のようにも見えました。
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「経塚」

 県道伊賀甲南線を南へ向き、平泉寺の脇を通ると、遠くに出発地点周辺の集落が見えてきました。道端に小さなほこらを発見=写真左。看板には「経塚」とあります。説明書きによると、前述の天正伊賀の乱の際、この地にあった阿弥陀寺の僧侶が大切な経典や経文を土の中に埋め、戦火から守ったそうです。
 鞆田小前の交差点に戻ると、ゴールはもうすぐ。田んぼには、立てて束ねた稲わらがたくさん干してあり、集落の間を抜けていくと、製材所の脇で年配の男性3人が火を囲んで話し込んでいました。再び鞆田橋を渡り、午後12時45分に下友田集会所に到着しました。
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道沿いの民家の庭先に、白いツバキの生垣(左)があった

 ちょっとした山登りとウオーキングを組み合わせた今回のコースは、全体で約1万5千歩余り。どちらかだけでもいい運動になると思います。近くには日帰り温泉もあるので、寒い時期は体を冷やしすぎないように気をつけてください。
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