YOUが送るオンライン読み物「シアワセを感じる100歩」

「引き受ける」を楽しむ。

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 町内会組長の役が回ってきた。
 面倒だなあと思っていたが、知人が増えたのは嬉しい。
 ただ厄介なことも起きる。
 組内のアパートの回覧版が3か月間1個も戻らないのだ。
 収集マニアでもいるのか?
 日曜日、アパートへ出向いて探すことにした。

「回しましたよ」外にいた人が言った。
 じゃ次は、と順に訪ねると、4軒目で「下の家にあるかも」という人が!
「外国人だから回すって知らないんじゃない?」
 下ね! 勇んで下階へ行くと外国人男性(国籍不明)が出てきた。
「回覧板知りません?」
「ナニ?」
「こういう形の」身振り手振りで説明。
「シラナイ」
 おかしい。上の人は回したと言った。
 「困るんです。回覧板がなくなると!」
「ニホンゴワカラナイ」
 ......出直すか。

 外へ出たら回覧最終の人がいた。
 事情を話すと「え?読んだよ?最後はあの箱へって管理会社が......」
 指さす階段下には、回覧板入れと書かれた新しい箱。
 管理会社~! 箱を作ったとなぜ言わない!

 いやそれより外国人の彼だ。
「回覧板ありました。すみません!」
 彼が口を開く。
「やっぱりね。家族に確認したら毎回きちんと回すと(以下ぺらぺ~ら)」
 ......その日本語は何。彼がニヤっと笑った。

 こんな逞しいご近所さんとも知り合える町内会。
 役員を引き受けるのも悪くない。
 身近な「社会」を知るまたとないチャンスだしね。

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執筆者・坪田多佳子プロフィール

1963年東京生まれ。ライター、小論文及び国語科専門プロ家庭教師。
「シアワセ感じる100歩。」は、2007年4月から2009年3月、朝日新聞の姉妹紙「RAKU(楽)」に掲載し、好評を得た。現在は「YOUよっかいち」の紙面と伊賀タウン情報YOUホームページで連載中。
日常生活で見つけた小さなシアワセをテーマに「~を楽しむ。」と題して1か月に1歩ずつ歩み続け、「100歩。」達成を目指す。
YOU紙面へはピンクリボンの記事も出稿。
趣味は読書、料理、英会話。インターネット上で、日本マニアの外国人に日本語を教えたりもしている。
家族は夫、息子、娘。松阪市在住。