YOUが送るオンライン読み物「シアワセを感じる100歩」

「諭す」を楽しむ。

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「うちの子、全然言うことを聞きません。先生から言ってください!
 お母様方から家庭教師へのよくあるご依頼だ。
 生徒を諭すのも仕事のうち。
 だが、いわゆるヤンチャな生徒は逞しく、一筋縄ではいかない。
「この間は宿題を忘れて叱られてるそばから『家庭に勉強は持ち込まない主義で......』なんて口走って居残りですよ。どう思います?」
 ......面白いと思います。

 かつての生徒にもツワモノたちがいた。
 答案に読めない字を書く生徒など、注意しても
「仕方ないです。僕の思考スピードに文字が追い付かないんだから!」
 と言い放ったものだ。
 それでも合格後、きれいな文字の手紙をくれた。
 聞き耳を持たないようでいて、彼らなりに受け止めているのである。

「次のテストは頑張るんだよね?」
 今日は部活に燃えるK君(あと少し背が高ければ記録も伸びるのに! と悩み中)を諭す。
「ま~ね。だけど思うんだ。『頑張っても全然伸びる気がしない。オレの身長、オレの成績』ってね」
 うまいっ! なにその短歌っぽい一節! ......って感心している場合じゃない。
「でも、苦手なことは避けないほうがボケないよ」
 するとK君、「高校生にボケ防止の話とは新しい!」と言いつつノートを開けた。
 見ると完璧な予習の跡。
 予測不能なK君に、言葉をなくす。
 けれどそれもまた、楽しい。

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執筆者・坪田多佳子プロフィール

1963年東京生まれ。ライター、小論文及び国語科専門プロ家庭教師。
「シアワセ感じる100歩。」は、2007年4月から2009年3月、朝日新聞の姉妹紙「RAKU(楽)」に掲載し、好評を得た。現在は「YOUよっかいち」の紙面と伊賀タウン情報YOUホームページで連載中。
日常生活で見つけた小さなシアワセをテーマに「~を楽しむ。」と題して1か月に1歩ずつ歩み続け、「100歩。」達成を目指す。
YOU紙面へはピンクリボンの記事も出稿。
趣味は読書、料理、英会話。インターネット上で、日本マニアの外国人に日本語を教えたりもしている。
家族は夫、息子、娘。松阪市在住。