YOUが送るオンライン読み物「シアワセを感じる100歩」

「出来る」を楽しむ。

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 「ひいばあちゃんがくれた手紙、すごいよ」息子が祖母からの手紙を広げた。
 すごいというのは文中の、「○○がモットーのあなた」の部分。
 モットーの内容、○○は、息子が祖母の100歳の誕生日カードに書いた文章なのだそうだ。
 半年足らずで102歳になる祖母は、1年半前に読んだ一文を引用し、曾孫への手紙に書いたことになる。

 「ああ、あれか」祖母を訪ね引用について聞く
と、日記を見せてくれた。
 そこにはカードの文章が書き写され、モットーの所は蛍光ペンでマークされている。
 「自分で出した手紙も写しとくよ」その几帳面さに感嘆すると「私、ヒマやんか」と笑う。
 「般若心経も書いてるで」
 「へえ。そういや、般若心経をなぞるノートってあるね」
 「なぞる? あかん。自分の字で書いてこそやんか。自分で出来ることはやらんと人間ダメになるで?」
 返す言葉もない私は、怠惰な日々を猛省。
 その間も祖母は、引き出しを整理しながら「私、体重減ってシワ増えたわ」と嘆く。
 (原因が体重ってとこがミソだ)
 そしてシワを隠すファンデーションを取り出した。
 そんな祖母に感心していると......。

 目に飛び込んできたのは枕元の壁の写真。
 「こっ、これって」
 ポスター風に貼ってあるが......
 「お墓の拡大写真じゃないの!」
 「せやで。足悪いからお墓参りに行けへんやろ? これなら簡単に拝めるやん」
 長寿の人は、何でも出来ちゃうのである。

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執筆者・坪田多佳子プロフィール

1963年東京生まれ。ライター、小論文及び国語科専門プロ家庭教師。
「シアワセ感じる100歩。」は、2007年4月から2009年3月、朝日新聞の姉妹紙「RAKU(楽)」に掲載し、好評を得た。現在は「YOUよっかいち」の紙面と伊賀タウン情報YOUホームページで連載中。
日常生活で見つけた小さなシアワセをテーマに「~を楽しむ。」と題して1か月に1歩ずつ歩み続け、「100歩。」達成を目指す。
YOU紙面へはピンクリボンの記事も出稿。
趣味は読書、料理、英会話。インターネット上で、日本マニアの外国人に日本語を教えたりもしている。
家族は夫、息子、娘。松阪市在住。