YOUが送るオンライン読み物「シアワセを感じる100歩」

「見つける」を楽しむ。

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 スーパーの地元野菜売り場が楽しすぎる。
 採れたてというのに加え、珍しいものが見つかるからだ。
 生キクラゲとか、ブロッコリーの脇芽とか、緑のナスとか。
 円錐形で黄緑色のカリフラワー、ロマネスコを見つけたときは、ワクワク感がさらに募った。
 植物学者の肩書を持つシェフが、新種の発見と同時に食材の可能性をも確信する瞬間(あるのか?)の気分だ。
 納品中の生産者に会えたら、栽培の苦労話やレシピを聞けることもある。
 ワサビ菜を凝視していると「サラダに入れるとピリリとしておいしいですよ」と教わり、以来、見る度に買いこんでは、私は虫か?という勢いで食べている。

 あるとき、売り場に、薄いプラスチック容器を積むおじいさんがいた。
(昔話ではありません)
 平たいトレーには、紫色の球体が隙間なく30ほど並んでいる。
 何かの実のようだが何だろう。
 新しい果物かな?と心躍らせていると「これ何かわかる?」と彼。
 絶妙な間の後、品名シールを見せながら「巨峰!」と明かした。
「ブドウですか?何でまたこんな姿に?」
「房ごと入る容器がなかったんや。バラバラにするのは手間でなあ」といい、うひゃひゃひゃと笑った。
 その手間をかけるのと容器を買いに走るのとどちらが早いだろうかと思いつつ、バラの巨峰を初めて買う。
 意外なものまで見つかる売り場。
 だからまた、足を運ばずにはいられない。

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執筆者・坪田多佳子プロフィール

1963年東京生まれ。ライター、小論文及び国語科専門プロ家庭教師。
「シアワセ感じる100歩。」は、2007年4月から2009年3月、朝日新聞の姉妹紙「RAKU(楽)」に掲載し、好評を得た。現在は「YOUよっかいち」の紙面と伊賀タウン情報YOUホームページで連載中。
日常生活で見つけた小さなシアワセをテーマに「~を楽しむ。」と題して1か月に1歩ずつ歩み続け、「100歩。」達成を目指す。
YOU紙面へはピンクリボンの記事も出稿。
趣味は読書、料理、英会話。インターネット上で、日本マニアの外国人に日本語を教えたりもしている。
家族は夫、息子、娘。松阪市在住。