YOUが送るオンライン読み物「シアワセを感じる100歩」

「暗記する」を楽しむ。

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 「もうねえ、暗記することだらけでどうかなりそうですよ」
 生徒のTくんが、彼の部屋の壁一面に貼られた英単語の紙片を指さした。
「国語担当としては、古文単語も貼って欲しいな」
 文句を言いつつ見ると、未習の中にwisdom(ウィズダム)を発見。
「この単語なら今すぐ暗記できる話があるよ」

 親知らずを抜くという息子の近況を、夫に報告したときのことだ。
「親知らずは英語でwisdom tooth(ウィズダムトゥース)、分別の歯というんだって。うまく言ったもんだね。でもwisdomって、分別以外の意味あったよね?」
 どうも思い出せない。
「w・i・s......」スペルをそらんじたら、「hだろ?」と夫。
「withdom?違う。wisdomよ。thじゃなくてssの発音だよ」
 意味はおろかスペルも間違っているじゃないか、と鼻であしらう私。
「はあ? 発音って何だ? hだろ!」と夫は一歩も引かない。
 夫の戯言には付き合っていられないので辞書を引いた。
「そうだそうだ、知恵だった!」
「だろ? だから言ってるじゃないか!英知だって!」
 h...エイチ...英知。

「ね? 覚えられたでしょ、wisdomの意味」
 T君は、呆れ顔で首を振る。
「忘れませんけど、単語は山のようにあるんですよ?」
 覚えても一個か。いや違う。
「暗記の山が、一個分確実に低くなったと考えようよ」
 夏は受験の天王山。暗記の山も制してね。

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執筆者・坪田多佳子プロフィール

1963年東京生まれ。ライター、小論文及び国語科専門プロ家庭教師。
「シアワセ感じる100歩。」は、2007年4月から2009年3月、朝日新聞の姉妹紙「RAKU(楽)」に掲載し、好評を得た。現在は「YOUよっかいち」の紙面と伊賀タウン情報YOUホームページで連載中。
日常生活で見つけた小さなシアワセをテーマに「~を楽しむ。」と題して1か月に1歩ずつ歩み続け、「100歩。」達成を目指す。
YOU紙面へはピンクリボンの記事も出稿。
趣味は読書、料理、英会話。インターネット上で、日本マニアの外国人に日本語を教えたりもしている。
家族は夫、息子、娘。松阪市在住。