YOUが送るオンライン読み物「シアワセを感じる100歩」

「怖がる」を楽しむ。

77.jpg PCに向かう昼下がり。
 「こんばんは」とのメッセージが画面に現れた。
 送信者はカナダ人学生のN君。
 ネットで日本語学習者たちと交流しているが、彼もその一人だ。
 でもカナダは午前1時。
 どうしたの?と聞くと、昼間観た日本のホラーが怖すぎて眠れないとのこと。
 「日本のホラーだよ?どうにかしてよ」
 そんな理不尽な。
 
 日本のホラーは怖いらしい。
 西洋のホラーが「突然出てきて驚かせる」系なら、日本のは「気づくとそこに居る」系なんだとか。
 「怖いのは観ないので分からない」と言うと「怖いから楽しいんだよ」と偉そうな口調に。
 「ムリよ。昔見た『キャリー』がトラウマでね」
 この映画、少女が血まみれになる写真で有名だ。
 「キャリー?知らないな」
 古い映画なので無理もない。
 すると数秒後、耳を劈くような叫び声が聞こえてきた。
 「写真が写真がああ!!」
 検索しちゃったらしい。
 画面上に血みどろ少女が何人も出現したようだ。
 彼の身を案じつつ「申し訳ない。私はただトラウマの説明を・・」というと、彼は
 「ん?叫んだらスッキリした」
 なるほど、怖いときは、怖くないと言うより怖いと言ったほうがいいと聞く。
 叫ぶのはその延長か。
 「OK!これで眠れるな」と、N君。
 しかし問題は、キャリーを鮮明に思い出してしまった私のほう。
 ・・これから夜が来る。

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執筆者・坪田多佳子プロフィール

1963年東京生まれ。ライター、小論文及び国語科専門プロ家庭教師。
「シアワセ感じる100歩。」は、2007年4月から2009年3月、朝日新聞の姉妹紙「RAKU(楽)」に掲載し、好評を得た。現在は「YOUよっかいち」の紙面と伊賀タウン情報YOUホームページで連載中。
日常生活で見つけた小さなシアワセをテーマに「~を楽しむ。」と題して1か月に1歩ずつ歩み続け、「100歩。」達成を目指す。
YOU紙面へはピンクリボンの記事も出稿。
趣味は読書、料理、英会話。インターネット上で、日本マニアの外国人に日本語を教えたりもしている。
家族は夫、息子、娘。松阪市在住。