YOUが送るオンライン読み物「シアワセを感じる100歩」

「喜ぶ」を楽しむ。

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 実家の話をしたら「○市○町の近所に住んでたんですかっ!」と、東京在住の男子高校生に叫ばれた。
「感激ですう!○市の人と知り合えたなんてっ!僕、そこへ行ったばかりです」全く意味が分からない。
「知らないんですか?そこ、聖地ですよ」ぽかんとする私に、彼は説明を始めた。
 実家の周辺はあるアニメの舞台で、ファンたちの「聖地」なのだそうだ。
 そしてそこを尋ねることを「聖地巡礼」というらしい。

「ですからね、僕にとってそこに実際に住んでいる人たちは、神なワケで」町名だけで神格化されるとは。
「○町の△って店知ってます?」
「よく行ったわ」
「うっそおお!スッゲー」
 何が「スゲー」のか今ひとつ分からないが、喜んでもらえて何よりだ。

「ついでに大阪も行ってきたんですよ。大阪って街を体感したくて」
 ほう。
「で、コインロッカーがまさに大阪でした。サイコーですね!」
 コインロッカーの何が嬉しいんだ?
「小銭がなくて両替しようとしたら両替機がないんです」
 んん?
「代わりに何と、自販機があるじゃないですか!」
 つまり、関西人の商魂逞しさを確認できた喜びか。
「大阪スゲー!」
 感激のポイントがますます不明だが、嬉しい人と話しているとこちらも嬉しくなる。
 喜ぶ対象が豊富な君こそ「スゲー」と思うのだった。

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執筆者・坪田多佳子プロフィール

1963年東京生まれ。ライター、小論文及び国語科専門プロ家庭教師。
「シアワセ感じる100歩。」は、2007年4月から2009年3月、朝日新聞の姉妹紙「RAKU(楽)」に掲載し、好評を得た。現在は「YOUよっかいち」の紙面と伊賀タウン情報YOUホームページで連載中。
日常生活で見つけた小さなシアワセをテーマに「~を楽しむ。」と題して1か月に1歩ずつ歩み続け、「100歩。」達成を目指す。
YOU紙面へはピンクリボンの記事も出稿。
趣味は読書、料理、英会話。インターネット上で、日本マニアの外国人に日本語を教えたりもしている。
家族は夫、息子、娘。松阪市在住。