YOUが送るオンライン読み物「シアワセを感じる100歩」

「送る」を楽しむ。

054.gif 「荷物着いた?」「まだなの。遅いね」韓国にいるモニカと1か月近く繰り返した会話だ。彼女から化粧品などを送ってもらったお返しに、こちらからも荷物を郵送したが、いっこうに届かないのだ。小型包装物は韓国まで航空便で約1週間と聞いた。問い合わせると「1週間」は「税関などで問題がなかった場合」とのこと。
 ということは問題発生だ。「国際情勢で厳しくなったのかな」「韓国から日本へはすぐ着いたのに?」「税関の問題って何」......闇ルートの解明? テロ阻止?一般人は知る由もない、何か。

 もっと情報が必要だ。国際郵便の専門窓口に電話をし、詳細を伝えた。係の男性は「日本を出て韓国で止まっている可能性が高いですね」と言う。荷物の中身は、彼女の娘たちへの小物、お菓子、インスタント食品だが、問題なのはもしかして......「申告の紙に書いたSeasoning(調味料)がまずかったのでしょうか」「まずいといいますと?」「調味料が薬物と混同されたとか」「まさか。それより内容を全部書きましたか? 国内宛の荷物のように適当に書いてませんよね?」

 あ。中身は10種類以上だが、書いたのはSeasoningとToy(おもちゃ)だけだ。「申告した内容と中身が違うと、到着が遅れかねません。それにインスタント食品に牛肉が入っていたら送れなかったり、食品は難しいんです」彼の説明は続く。「他にも国によって基準が違い、判断しにくいものもあります」「例えば?」「ホラーなどです」「ホラー物が禁止な国がある?」「はい。それでドクロの柄がダメだったことも」「ドクロがホラー......。可愛いドクロでも?」「可愛いドクロってよくわかりませんが、税関の人の主観も関係するようです」国による基準か。グローバル化で諸外国は感覚的に近くなったが、やはり別の国。私の荷物も税関で厳しいチェックにさらされているのだろうか。

 さらに待っても着かないので、新たに送ることにした。今度の封入物はアイシャドーと口紅のサンプル、ハローキティ2匹。二度と失敗したくないので、窓口に聞く。「キティは何と申告すれば?」「Doll(人形)ですね」「猫でも? 本当ですか」「少々お待ちください。失礼しました。Soft Toy(ぬいぐるみ)です」了解。「アイシャドーはCosmetic(化粧品)でいいですよね」「いいえ。アイシャドーと明記してください。化粧品には禁止のスプレー缶もありますので、日本の税関すら通らない可能性も」難しいな。「価格欄ですが、サンプルは0円?」「いえ、N.C.Vと書いてください」「何です?その暗号」「ノーコマーシャルバリュー。商品価値がないという意味です」ほう。聞けば聞くほど学べる。さて、これで申告は大丈夫。一応投函前に住所など、モニカに確認しよう。

 彼女から返信が来た。素早いなと思ったら、そこには驚くべき一言が。「住所ですが、マンションの部屋番号を書き忘れてました」それはつまり、例の荷物は......単なるあて先不明?!

 5日後、2度目の荷物は無事彼女の元へ届き、その1週間後、開封の痕跡など全くない最初の荷物が我が家へ返送された。箱に張られた「宛名不十分。差出人もどし」のシールを見て思う。原因は概して単純である、と。

 「色々ありがとう。また化粧品送るわ!」モニカが嬉しそうに話している。私からも送るよ、簡単だからね。

「送る」を楽しむ。のトップへ戻る
シアワセ感じる100歩のトップページに戻る

コメントする

執筆者・坪田多佳子プロフィール

1963年東京生まれ。ライター、小論文及び国語科専門プロ家庭教師。
「シアワセ感じる100歩。」は、2007年4月から2009年3月、朝日新聞の姉妹紙「RAKU(楽)」に掲載し、好評を得た。現在は「YOUよっかいち」の紙面と伊賀タウン情報YOUホームページで連載中。
日常生活で見つけた小さなシアワセをテーマに「~を楽しむ。」と題して1か月に1歩ずつ歩み続け、「100歩。」達成を目指す。
YOU紙面へはピンクリボンの記事も出稿。
趣味は読書、料理、英会話。インターネット上で、日本マニアの外国人に日本語を教えたりもしている。
家族は夫、息子、娘。松阪市在住。