「働く」を楽しむ。
京都へ行った。天気の良い休日とあって、古都は観光客でごったがえしていた。
京都駅のバスターミナルでは、何人もの市バス職員が、観光客相手に奮闘している。
バスのルートを聞く人、道を尋ねる人。
外国人観光客の姿も。
バスを待ちながら、ここで遊んでいられるのも休日に働く彼らがいるからこそ、と思う。
バスが来た。
車内は身動きがとれないほどの混雑ぶりだ。
何か息苦しいな......とげんなりしていると、奇妙なアナウンスが聞こえてきた。
「しゃしゃっと曲がります」。
運転手さんが、バスの動きを説明しているらしい。
「次、右でーす」。
「ちょこっと揺れます」。
しゃべり続ける運転手さん。
バス停付近では「バス停がお祭りになってますねー」と言った。
お祭り......。
車で一杯という意味かな。
バスを神輿に例えた表現かも。
......そのうちアナウンスは、乗客との対話にまで発展。
「次停まりますが、降りる方はどの辺にいらっしゃいますか?」。
「ハーイ、ここで~す。割と前にいます」。
若い女性が答える。
「了解です」。
調子を上げた運転手さん、「皆さん、バスが発車してから『ちょっと待って!やっぱり降りま~す』っていうのだけはやめてくださいね」。などと言い出した。
「それ、ホント困りますから」。
あちこちで笑いが起こる。
そして「ゆっくりと前へおつめくださいね。なにぶん大混雑しております」と、合間に乗客の移動を促すのを忘れない。
車で一杯という意味かな。
バスを神輿に例えた表現かも。
......そのうちアナウンスは、乗客との対話にまで発展。
「次停まりますが、降りる方はどの辺にいらっしゃいますか?」。
「ハーイ、ここで~す。割と前にいます」。
若い女性が答える。
「了解です」。
調子を上げた運転手さん、「皆さん、バスが発車してから『ちょっと待って!やっぱり降りま~す』っていうのだけはやめてくださいね」。などと言い出した。
「それ、ホント困りますから」。
あちこちで笑いが起こる。
そして「ゆっくりと前へおつめくださいね。なにぶん大混雑しております」と、合間に乗客の移動を促すのを忘れない。
その後「皆さまのおかげで、停留所にいらっしゃったお客さま全員にご乗車いただけました。ありがとうございました!」と乗客の態度まで褒めちぎった。
いつの間にか気にならなくなったバス内の窮屈さ。
停留所に着くと「面白かったよ。ありがとう!」何人もの乗客がそう言い残してバスを降りていく。
隣に居たおばさんがこちらを向いて言った。
「彼、楽しそうに働いてますね」。
私は大きく頷いた。
いつの間にか気にならなくなったバス内の窮屈さ。
停留所に着くと「面白かったよ。ありがとう!」何人もの乗客がそう言い残してバスを降りていく。
隣に居たおばさんがこちらを向いて言った。
「彼、楽しそうに働いてますね」。
私は大きく頷いた。
「働く」といえば先日、ある青年が書いたこんな文を読んだ。
「働く意欲が湧きません。この地球で生き抜くためにも働く意義を見つけたいです。どうすればいいですか?」
さて、運転手さんだったら何と答えるだろう。
「働く意欲が湧きません。この地球で生き抜くためにも働く意義を見つけたいです。どうすればいいですか?」
さて、運転手さんだったら何と答えるだろう。
翌日。
再び市バスに乗るため京都駅に行く。
今日は地下街を通ろう。
近道だし、と思ったのが失敗だった。
バス停へ通じる出口がわからない。
いつものように道に迷っていると、地下鉄の職員が助けてくれた。
こちらは地下鉄の客でもないのに親切だ。
丁寧な案内と柔らかな物腰にも感銘を受ける。
お礼を言って再び歩いた。
......数分が経過。
そして前方を確認したときだ。
......衝撃だった。
行く手にはさっきの地下鉄職員の姿が。
彼は何者?
......いや違う。
自分がどこかで地下を一周......。
私は彼の好意を無にする愚行を恥じ、とっさに柱の影に隠れた。
そして猛省する。
こういう客が彼らの仕事を増やすのだと。
再び市バスに乗るため京都駅に行く。
今日は地下街を通ろう。
近道だし、と思ったのが失敗だった。
バス停へ通じる出口がわからない。
いつものように道に迷っていると、地下鉄の職員が助けてくれた。
こちらは地下鉄の客でもないのに親切だ。
丁寧な案内と柔らかな物腰にも感銘を受ける。
お礼を言って再び歩いた。
......数分が経過。
そして前方を確認したときだ。
......衝撃だった。
行く手にはさっきの地下鉄職員の姿が。
彼は何者?
......いや違う。
自分がどこかで地下を一周......。
私は彼の好意を無にする愚行を恥じ、とっさに柱の影に隠れた。
そして猛省する。
こういう客が彼らの仕事を増やすのだと。
久しぶりの京都。
観光そのものより、働く人たちに目が向く滞在だった。
日本中、世界中の客を迎える町。
誰もが楽しめる工夫を凝らす町だ。
例の青年のように、働く意義を見出すべく地球と対話する暇は、多分この町には、ない。
観光そのものより、働く人たちに目が向く滞在だった。
日本中、世界中の客を迎える町。
誰もが楽しめる工夫を凝らす町だ。
例の青年のように、働く意義を見出すべく地球と対話する暇は、多分この町には、ない。


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