「答える」を楽しむ。
外出先で、ばったり会った知人。何年ぶりだろう。別人のようにスリムになっている。変身の
きっかけが聞きたくて、失礼を省みず単刀直入に質問した。「痩せたね!見違えたわ。ダイエット?」すると、彼女はえん然と微笑んで言った。「太っていた頃
の私ね、あれは仮の姿だったのよ」。(仮の姿......?)意表をつく答えに、私は
ダイエットについての質問を忘れた。一瞬、脱皮をする彼女の姿を想像する。私
が続ける言葉を見つけられずにいると、彼女はさらに「今の私が本当の私なの!」と楽しそうに語り、立ち去った。
ダイエットについての質問を忘れた。一瞬、脱皮をする彼女の姿を想像する。私
が続ける言葉を見つけられずにいると、彼女はさらに「今の私が本当の私なの!」と楽しそうに語り、立ち去った。
あれは、ダイエットについての質問封じだったのか?だとしたら、すごい。インパクトのある答えは、相手に二の句を告がせぬパワーがある。変化球な答えは、
筋の通った直球の答えより効果的かもしれない。私は衝撃的な答えが忘れられず、あれから何度も(理屈だけじゃ、世の中渡れないものよね)などと考えたの
だった。
そして、別の日。居間でコーヒーを飲んでいると、二階から大きな音がした。娘が部屋で大暴れをしている模様だ。シューッ!ばさっ!ガタン!(順に、殺虫 剤の噴射音、本の散乱音、椅子を倒す音)。それに「虫が~!」の叫び声が続く。一体何が出たのかと様子を見に行ったが、何もいない。娘が確かに何かいたと 主張するので、私は「だからって、どうしてそこまで大騒ぎするの?!」と諭した。すると、彼女は言った。「だって!何かが、邪悪な動きをしたのよ!」(邪 悪!??じゃ、仕方ないか)と、つい思ってしまったのが悔しい。この手の答えにはどうも弱い。
私の答え方といったら、いつもいたって平凡だ。工夫が足りないのかもしれない。そんなとき、うまい具合に答える練習をするチャンスが訪れた。勧誘の電話 である。高級化粧品のセールスで、電話の相手はなぜかマダム風だった。「このクリームは、当社の技術力の結晶ですの。お使いいただいた方、皆さまがご満足 くださいますのよ」。という具合にしゃべるしゃべる。もちろん買うつもりはないので、いつのもように「いりません」ときっぱり断った。
しかしマダムは、心底驚いたように「まあっ?!ご不要ですの?なぜです?なぜ?」と、食い下がる。これには少々面食らった。いらないといったらいらない のだ。普通はそれで納得してくれるはずでは?「こんな機会、めったにございませんのよ?アナタ」ひょっとして開発者かオーナーか?と思えるくらいの勢いの マダム。こちらも負けてはいられない。今こそ、変化球な答えだ。私は言葉を探した。「お断りする理由は、私の肌ですわ。何のお手入れも要らないほどきめ細 やかでつややかで。陶器のようなんですもの」。マダムな答え方もついでに真似てみる。マダムは「まあっ?そうですの?ではごめんくださいませ」と、あっさ り電話を切ってくれたのだった。
やった!私だって上手く答えられるじゃないか!有頂天になって娘に自慢しかけた私。でも、ちょっと思いとどまる。さっきの答えだが、あれは工夫というより......「ただの大ウソだよね、お母さん!」と、彼女なら言うだろう。こんな場合、真正面からの直球で。
そして、別の日。居間でコーヒーを飲んでいると、二階から大きな音がした。娘が部屋で大暴れをしている模様だ。シューッ!ばさっ!ガタン!(順に、殺虫 剤の噴射音、本の散乱音、椅子を倒す音)。それに「虫が~!」の叫び声が続く。一体何が出たのかと様子を見に行ったが、何もいない。娘が確かに何かいたと 主張するので、私は「だからって、どうしてそこまで大騒ぎするの?!」と諭した。すると、彼女は言った。「だって!何かが、邪悪な動きをしたのよ!」(邪 悪!??じゃ、仕方ないか)と、つい思ってしまったのが悔しい。この手の答えにはどうも弱い。
私の答え方といったら、いつもいたって平凡だ。工夫が足りないのかもしれない。そんなとき、うまい具合に答える練習をするチャンスが訪れた。勧誘の電話 である。高級化粧品のセールスで、電話の相手はなぜかマダム風だった。「このクリームは、当社の技術力の結晶ですの。お使いいただいた方、皆さまがご満足 くださいますのよ」。という具合にしゃべるしゃべる。もちろん買うつもりはないので、いつのもように「いりません」ときっぱり断った。
しかしマダムは、心底驚いたように「まあっ?!ご不要ですの?なぜです?なぜ?」と、食い下がる。これには少々面食らった。いらないといったらいらない のだ。普通はそれで納得してくれるはずでは?「こんな機会、めったにございませんのよ?アナタ」ひょっとして開発者かオーナーか?と思えるくらいの勢いの マダム。こちらも負けてはいられない。今こそ、変化球な答えだ。私は言葉を探した。「お断りする理由は、私の肌ですわ。何のお手入れも要らないほどきめ細 やかでつややかで。陶器のようなんですもの」。マダムな答え方もついでに真似てみる。マダムは「まあっ?そうですの?ではごめんくださいませ」と、あっさ り電話を切ってくれたのだった。
やった!私だって上手く答えられるじゃないか!有頂天になって娘に自慢しかけた私。でも、ちょっと思いとどまる。さっきの答えだが、あれは工夫というより......「ただの大ウソだよね、お母さん!」と、彼女なら言うだろう。こんな場合、真正面からの直球で。


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