YOUが送るオンライン読み物「シアワセを感じる100歩」

「着ける」を楽しむ。

024.jpg今年もまた花粉症。ティッシュの使いすぎで鼻の下が痛いし、目もかゆい。目と鼻を顔から取り外して水洗いしたい気分だ。何もしたくないし、ずっと家にこもっていたい・・と、かなり後ろ向きになっていた。そんな中見つけたのが、花粉を100%近くカットするという使い捨てマスク。去年まではマスクなしでも過ごせたのに、とうとうマスクデビューだ。症状が改善されるわけではないが、花粉から守られている感じがいい。思ったよりも息苦しくないし。外出時にはマスクを必ず着けるようになった。

それでも家の中では外したい。ある日、使ったマスクを洗面所に放置しておくと「うわー!お母さんが吐血したのかと思った」という娘の叫び声がした。マスクの裏についた口紅のことか。血を吐いた覚えはない。確かに使い捨てとはいえ、化粧がマスクにつくのも嫌な感じだ。人騒がせなので、マスクの時はノーメイクにしようと思った。しかし次の日、いざ外出するとなるとやはりすっぴんには抵抗が。スーパーへ行くだけだし、マスクに隠れない部分にだけメイクをすることにした。出がけにコンタクトレンズの調子も悪くなりメガネに変えたため、目の下から顎の下まで覆う巨大マスクとメガネといういでたちに。知り合いに会っても、たぶん私とはわからないだろう。変装するってこんな感じかなーと浮かれた。だが買い物中、マスクのせいでメガネが曇るのにはとても困った。商品が見えにくいのだ。マスクを外せばいいのだろうが、化粧が顔半分、という事情がある。仕方なくメガネを外した。そうすると商品に近寄らなくては見えない。再び歩こうとするとぼやけるので、またメガネをする。若干、挙動不審だけど、変装中だから平気。と思ったが「あら、ツボタさん、花粉症?」と知人に声をかけられた。

マスクを着けるといいこともあった。細菌や花粉の予防だけでなく咽喉が潤う。肌もカサつかない。仕事中のあくびが可能。こんなに便利なのに、友人によると欧米では普段マスクをする習慣はないのだとか。「日本に観光に来てたイギリス人が、マスクを着けた大勢の日本人を見て『細菌テロでもあったのか?』って怯えてたよ」と言っていた。マスクも文化らしい。マスクが当たり前な国で良かったな、と思ううち、外出も苦にならなくなってきた。もちろん、もう少し花粉症がラクになれば・・とも考える。花粉症仲間とも"花粉症には何が効くか"が専らの話題だ。「ストレスが大敵なのよ」と彼女。「だから無理にでも笑うといいんだって。体内の免疫力がアップして花粉症に効くらしいよ」と言う。1人で意味なく笑うのは何だか不気味と思ったが、マスクの下なら可能かも。

外に出ると、いたるところで見るマスク族。知らない人でも妙に親近感を覚えてしまう不思議。(この辛さ、なってみなけりゃわかりませんよねえ)。(ええ。ホント)。(季節が変わるのをじっと待ちましょう)。無言の会話がマスク越しに、聞こえてきそうな春である。

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執筆者・坪田多佳子プロフィール

1963年東京生まれ。ライター、小論文及び国語科専門プロ家庭教師。
「シアワセ感じる100歩。」は、2007年4月から2009年3月、朝日新聞の姉妹紙「RAKU(楽)」に掲載し、好評を得た。現在は「YOUよっかいち」の紙面と伊賀タウン情報YOUホームページで連載中。
日常生活で見つけた小さなシアワセをテーマに「~を楽しむ。」と題して1か月に1歩ずつ歩み続け、「100歩。」達成を目指す。
YOU紙面へはピンクリボンの記事も出稿。
趣味は読書、料理、英会話。インターネット上で、日本マニアの外国人に日本語を教えたりもしている。
家族は夫、息子、娘。松阪市在住。